本稿は, 英語で研究活動を行う理系大学院留学生を対象とした「生活日本語」の授業の実践にもとづき, 入門レベルにおいて, タスクを取り入れ, 課題遂行を重視した授業テザインを検討するものである。実践にあたっては, 日本語教育における動向や関連する教育実践を概観し, 理系大学院留学生の日本語教育に対するニーズや, 日本語学習を継続する際の問題点を整理した。本実践の結果, (1)課題遂行を重視する授業デザインになじめない学習者がいた, (2)学習者が, タスクを導入した授業についてどのように捉えていたか, タスクの達成度をどのように考えていたかを明らかにするために, 学習者による評価を実施する必要がある, (3)日本語プログラム全体における本授業の位置づけや, 他のコースとの接続を検討する必要がある, といった課題が明らかになった。
Miyanaga Aiko
Kawasaki Chiemi
PP. 54 - 61