2000年代以降の大学改革の重要なキーワードとして,「大学間連携」が挙げられよう。大学の個性化が叫ばれる一方,それぞれの大学の個性を共有するコンソーシアム組織が各地に出現することとなった。日本における大学コンソーシアム組織の初期的活動として,単位互換制度,さらには,FD(ファカルティ・ディベロップメント)・SD(スタッフ・ディベロップメント)といった活動が共通的に行われるようになり,大学コンソーシアム京都の取組が一つのモデルとなった。その後,文部科学省による大学間連携を促進するための補助金事業が段階的に投入され,相当数の大学コンソーシアム組織が大きな発展を遂げた。一方,山口県においては,2005 年に,山口大学が事務局を務める形で,「大学コンソーシアムやまぐち」が設立されたが,加盟校による会員費を財源に,その活動は必要最小限に留まっていた。2010 年代に入ると,日本の人口減少や東京一極集中といった国家的問題に対応する「地方創生」の政策に沿って,それまでに築いてきた大学コンソーシアム組織を基盤に,当該地域との連携による人材育成や経済力強化という側面が色濃くなってきた。ある意味において,前提となる「大学間連携」そのものの高度化が求めれる結果となった。「大学間連携」では遅れをとっていた山口県内では,「地方創生」を推進する補助金事業をテコに,単位互換,FD・SD,地域人材育成プログラムといった側面において急激な連携強化が促進される結果となった。本稿では,大学間連携の意義やねらいを踏まえながら,2000 年代以降の山口県内における大学間連携の動向を辿り,特に,大学間連携におけるFD・SD 活動の成果と課題について考察する。