近年の日本の高等教育政策では、3 つのポリシー(アドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシー)に基づく大学教育の質保証を進めてきた。特に、大学教育の質保証にとっては、教育過程(プロセス)が重要と考えられ、学生の学修成果の評価を含んだカリキュラム・ポリシーに基づくカリキュラムマネジメントが今後益々重要になると考えられている。日本の大学教育におけるカリキュラム研究は未だ不十分であり、新たな視点として、近年、多様化する大学の教育や運営への各アクターの役割にも注目しながら、カリキュラムマネジメントに関する事例研究を行うことで、実践的研究として深化させ、大学教育の質保証にインパクトを与えるカリキュラムマネジメントのあり方を検討する必要がある。本稿では、カリキュラムマネジメントのあり方を検証する一事例として、文部科学省「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」による地域人材育成カリキュラムを取り上げ、大学教職員やステークホルダーが参画したカリキュラムマネジメントの実情を明らかにする。