本論文ではALは何のために導入するのかをテーマにALの本質に迫る。アクティブ・ラーニング(Active Learning:以下,AL)は今や大学教育では一般化しているが,ALには「イベント(形式知)的なAL」と批判的思考力や物事に対する多面的な見方を育成する,「深い学び(または,社会につながる学び)に結び付くAL」とがあることを明らかにする。また,深い学びや社会につながるALとなるためには協調学習等のAL的な手法を用いただけでは授業の満足度や理解度は上昇しないことを授業アンケートの結果等から明らかにする。さらに,ALの手法を利用する際の重要な観点は,ある時点の学習が「今できること」でなく,「将来の学習をどのように準備するのか」という観点が重要なこと。また,発見学習や協調学習などの形式知であるAL手法に講義という教員の経験知を必要なタイミングでブレンドすることにより,その場のリソースを使える力や自ら学習する力等を強化することができることを明らかにする。また,AL授業の増加に伴う発達障害学生への支援の必要性について論じる。