本稿は韓国における教員業績評価について分析したものである。近年、韓国の大学では大学進学率の急速な上昇とそれに伴う政府の大学の量的拡大策によりユニバーサル段階に達したと位置付けている。この結果として大学教育の質保障と国際競争力の充実が各大学に求められるようになった。そこで、前半では高学歴化への進展の背景に政府が1974年から推進してきた「平準化政策」があることを説明する。その政策の概要と大学進学との関係について論じた後に、平準化政策は中学校や高校の受験競争の緩和や学校間格差の解消に貢献した反面、大学受験競争の低年齢化や地方大学の弱体化を招いたと結論付ける。後半では教育の質保障と国際競争力を高めるために韓国の大学は教員業績評価をどのように改訂し、教員のモティベーションを高める努力をしているかを説明する。このために、K大学の教員業績評価を例に、特に教育活動領域の業績評価について、その評価項目や評価基準の具体的な内容を明らかにする。分析の結果、教員の多面的な教育活動をできるだけ詳細な評価基準の基に、点数化するとともに、その評価結果を昇任や年棒などの処遇に反映させている実態が明らかになる。最後に、K大学の教育業績評価については、講義評価データの信頼性や評価基準について課題があることを明らかにする。