本研究は、国際協力機構(JICA )が実施している本邦研修が、山口県ひいては日本の地域振興に影響を与える可能性があるとの仮説から、山口県阿武郡阿武町が実施している国際協力の取組を報告するものである。阿武町の国際協力が本格的に始まったのは数年前であるが、この間、研修に関わった人々が内面的な刺激を受けたことをきっかけに、実施の仕組み・体制の改善が進み、むらまち交流が質的に変化していく様子が観察された。現時点の変化はわずかであり「いなかに集う」という段階であるが、将来、「いなかと語る」という段階を経て、「いなかが動く」「いなかが変わる」という地域住民が主体となった内発的発展につながる可能性は高いと考えられる。