近年、中央教育審議会「学士課程教育の構築に向けて」答申(以下、学士課程答申)(2008年12月)や日本学術会議(以下、学術会議)から大学教育の分野別質保証の在り方についての回答(以下、学術会議回答)(2010年7月)など高等教育の質保証を巡って様々な答申や指針が矢継ぎ早に示されている。しかし、日本の各大学の教育改革の現状は実効性の高い具体的な方策が見えづらいこともあり、依然、十分な質保証の体制が整備されたとは言い難い状況にある。本稿では教育改善FD研修会(以下、教育改善研修会)を通して得た知見を踏まえて、学士課程答申で提起された方針のうち、DP、CPの内容を再確認するとともに、学士課程教育の質保証のためにカリキュラム・マップ(以下、CUM)を改訂しなければならなかった背景や新CUMの構造等について、学術会議回答を踏まえて分析した。また、教育の質保証を推進するために新たに開発した成績分布公表システムや出席確認システムなどの概要と期待される教育的効果について明らかにした。最後に学生の視点からのカリキュラム改善の必要性や教育の質保証を推進するための支援体制の問題、共通教育の責任体制などの課題が明らかにされる。