筆者は、2008年5月17日から18日にかけて行われた韓国博物館100周年を記念した韓国博物館大会に、JMMA(日本ミュージアム・マネージメント学会)訪問団の一員として参加した。本稿は、この大会において行われた研究報告、意見交換の内容に基づき、韓国博物館の現状と今後の発展方向について考察するものである。韓国の博物館の歴史は、2009年に100周年を迎える。日本植民地時代(1910~1945年)の困難を乗り越え、現在、登録博物館だけでも500館近い博物館が各地で活発な活動を展開している。韓国における博物館政策は、こうした歴史的背景を強く意識するとともに、韓国国内の教育・文化への積極的貢献ばかりでなく、経済発展に裏付けられた国家競争力強化への貢献をも意識したものであることが理解された。