2004年、バングラデシュJICA技術プロジェクトのひとつであるParticipatory Rural Development Projectの現地スタッフが来日し、山口県周防大島町や京都府で農村開発に関する研究に参加した。本研究では、日本の経験知がいわゆる「途上国」でどのように役に立っているのかという問題意識から、彼らが本邦研修で得た知見の活用について、2007年、2008年にバングラデシュの農村に赴き調査をおこなった。その結果、地域ニューズレターの発行、図書館運営、博物館兼地域コミュニティセンターの設立構想、農村文化の復興を目指した年間計画・5カ年計画の立案・実施等の実践面が確認できた。さらに、地域の誇りやアイデンティティという精神面や、経済開発だけでなく社会的・文化的な要素を加味した農村開発を目指す姿勢をも看取することができた。