本稿は,2017年度前期から2018年度前期にかけて,筆者が担当した留学生対象の日本語V(口頭表現)の授業におけるディベート活動の実践を報告するものである。本活動は,受講生の論理的思考力と相互行為能力を育成するために取り入れたもので,1)話を論理的に組み立て,筋道の通った話をまとめる二とができる,2〕相手の主張をよく聞き,すばやくポイントをつかみ,分析ができる,3}自分の主張の正しさと必要性を相手に納得させられるようになる,を到達目標とした.本実践では特に,ディベートを導入することの意義の共有,段階的な指導,入念な論題選びと背景知識の共有,表現の型の定着等を心掛けた。活動終了後の受講生の自己評価では,到達目標に相当する各項目のポイントが上がり,淀の効果が見られたといえるが,一方で,グループ内の日本語能力の差による協働活動への貢献度の差等,今後の課題も残された.