コンテンツメニュー
Id (<span class="translation_missing" title="translation missing: en.view.desc">Desc</span>)
本稿は台湾の近代の美術の変遷を構造化して、伝統美術から現代美術までを四層の構造を仮定して述べ、台湾における独自性を探るものである。四層は民族の伝統文化、西洋文化の影響、近代美術とデザインの国際様式、現代美術のそれぞれを想定している。そして具体的な美術家と作品を採り上げて四層構造を解説している。それらは林玉山、郭雪湖、陳進、陳澄波、李石樵、廖修平、李貞慧である。彼らの活動を紹介し、独自性追求の姿勢や理念を述べている。そして、現代におけるグローバル化とアイデンティティーの形成については、廖修平と李貞慧を採り上げ、彼らの制作理念を明らかにしている。最後に現在の台湾での美感教育に触れ、グローバル化とアイデンティティーの形成の教育について述べている。
Creators : Fukuda Takamasa Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
『美術資料(山口県版)』は山口県で美術を学ぶ子どもたちにとってぜひ受け継いでほしい美術文化を掲載した資料集である。わずか12ページしかない誌面ではあるが、そこには「山口県の伝統と文化を受け継いでほしい」、「山口県にも誇れる美術環境や作品が多くある」、「山口県で学ぶならこのことは知っておいてほしい」という美術科教員としての想いが込められている。しかし、美術科教員にとって教えたいことや伝えたいことが異なる。地域の美術や身のまわりの美術にふれることの大切さについては指導すべき事項として学習指導要領には示されているが、それが具体的に何かは書かれていない。だからこそ、県内の美術科教員が集まり、話し合い、検討し、山口県版のページを作成している。本誌は、今回の編集の記録であり、今後も改訂していくための参考として残したいと考え、記したものである。
Creators : Adachi Naoyuki Nishimura Yuko Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
芥川龍之介作の「羅生門」の中に、下人の老婆に対する発言に関して、「嚙みつくように」という表現が用いられているところがある。現代語の「嚙みつくように」は、他に対して攻撃的な様子を表す表現として用いられることが一般的かと思われるが、近代の「嚙みつくように」は、現代語とは異なる意味を表していたと考えられる。本稿では、近代の「嚙みつくように」の用例をもとに、かつては、「相手としっかりつながるようにする様子」を表す喩えとして用いられていたのではないかということを述べるものである。あわせて、比較的最近においても、近代と同様な意味で「嚙みつく」という比喩が用いられた例があることについても述べる。
Creators : Nakano Nobuhiko Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
本論は、日本近代文学館に所蔵されている「武田泰淳コレクション」における未発表の草稿類資料「原稿 天命」(資料番号 T0056535)などを考察対象として取り上げ、草稿と初出本文との異同を検討することで、「聖王」「悪王」像が明確化され、美姫たちが格上げされ、「幸福な重耳」と「天命」が削除されたというテキストの生成過程を明らかにした。生成過程を踏まえ、改稿の時代背景から武田の「気持」を理解し、具体的に武田が「悠久なものがなぜほしかったか」、即ち本小説における「悠久のもの」(中国古典)の「現代」的意義を検討した。本小説において「悠久のもの」の「現代」的意義は、動乱の1960年代に面して、武田が「現実のきびしさを考える場合に」、「悠久のもの」から「よりどころとなり得るもの」である「徳」あるいは「王者(徳の高い人)」を追究し、「武力と悪知恵ではなくて、徳によっておさめられる静かな国」を強調し、中国古典を通して「現代」の難題を問い直したことであると思われる。
Creators : Son Shin Yoshimura Makoto Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
日本語の自然会話においては様々な反復現象が見られるが,中でもある話者の発話末尾文にある要素が次の話者の発話冒頭文に現れているような反復現象が観察される。本稿では,そのような会話における反復を「話者間反復」と呼ぶ。従来の研究では,話者間反復は「形態的な制約」「統語的な制約」「談話的な制約」によって,いくつかの候補から,最も多くの制約が満たされている要素が選ばれて起こることが分かった。しかし,それら3つ制約のうちどれが優位であるのかに関しては,未解明である。本稿では,話者間反復における制約の優位性について考察する。その結果,「形態的な制約の優位性が相対的に高い」ということを仮定する。
Creators : Chang Yanli 有元 光彦 Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
本稿の目的は,長崎県対馬・壱岐の4方言を対象とし,そこに起こるテ形音韻現象を記述することにある。さらに,対馬の佐護方言で発見された新たな「方言タイプPA#2」があり得る方言タイプであるかどうかについて検証していく。まず,対馬の佐護方言においては,新たな方言タイプのほかに,方言タイプTGが見られている。また,対馬の豆酘方言では方言タイプPAが観察される。同じ対馬に,同じPA系が分布していることは,「方言タイプPA#2」を仮定できる証拠になる可能性が高い。また,地理的分布の考察からも,壱岐方言をはじめ,近隣に類似の方言タイプが分布することから,その仮説がさらに支持できることになる。「方言タイプPA#2」の発見は,従来から仮定されている方言タイプPAにもさらなるバリエーションがあることを示すものである。今後,テ形音韻現象のより詳細な分類が求められる。
Creators : 有元 光彦 Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
新型コロナウイルス感染拡大防止対策のもとで合唱はリスクの高い活動とされ、2023年5月8日から「5類感染症」に移行したものの、3年以上もマスクを着用し、歌唱を制限された子どもたちを対象に合唱の魅力やあり方に基づいた効果的な合唱教育プログラムの開発は喫緊の課題であろう。筆者らは、2021年度山口大学教育学部附属光学園の研究テーマ:「well-beingにつながる学び」についての共同研究を契機に、音楽や合唱に関するwell-being研究を進めている。本研究においては、Achievement(達成)の項目を加えた合唱におけるwell-being尺度を開発し、大学生の合唱の質を測定した。その結果、仮説的な5因子を抽出することはできなかったが、合唱に関するポジティブで主体的な態度を測定する因子と、合唱によって仲間との関係性を意識したり、仲間からの受容を実感したりするという2因子の構成を見出した。また、媒介分析から、合唱による仲間からの受容を実感することで生活満足を高め、このことが合唱に主体的に取り組む態度を高めるという結論に達した。
Creators : Takahashi Masako Okibayashi Yohei Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
本研究の目的は、小学校生活科の単元の中で地域に暮らす外国人住民との異文化間交流を取り入れた授業実践を行い、その教育的効果を検証することであった。交流前後にアンケート調査を実施し、外国人に対するイメージや好感度、交流意欲がどのように変化したかをテキストマイニングと対応のあるt検定により分析した。その結果、直接の交流を通して、児童の外国人に対するステレオタイプが払拭され、外国人や生活文化の多様性や人となりなどについて多くの気づきがあったことが伺えた。また、外国人に対する好感度や交流意欲が有意に高まっていることがわかった。このことから、本単元の「地域の人々や場所に親しみや愛着をもつことができるようにする」というねらいについてもある程度達成できたものと考える。
Creators : Nishio Koichiro Tateishi Ikuha Imai Sarara Yamamoto Token Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
「御法」巻では紫の上の死が描かれている。新科目「古典探究」の教科書でも多く採録されている箇所である。高校生を対象とした授業提案も考えたが、本稿では「病」や「死」に関わることが多い看護学校での筆者自身が行った授業を対象に分析考察を行った。今回は、絵画と原文を対照させながら読むことに加えて、補助資料として「平安時代のお葬式事情」(コラム)や俵万智の文章を活用した。「時空を超えて思いを巡らす」時間としての古典の学びによって、現代を相対化する視座を得ることの意味や価値を考察した。また、受講者の「言葉自覚」「言葉の意識的な運用力」「言語化能力」を育成する「場」としての古典の学びの可能性を究明した。受験を目的としない「古典を読む、古典に親しむ」意味とは何なのか。千年も前の物語を読む必要性とは何かを検討することで、小中高大のみならず生涯教育における古典の学びの可能性を追究した。
Creators : Bando Tomoko Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
オンライン学習が急速に普及する中、ビデオ教材は教育分野において重要なツールとなっている。しかし、ビデオ制作には時間とコストがかかり、高品質なコンテンツを作成・更新することが難しいという課題が存在する。本論文は、これらの課題に焦点を当て、新しいアプローチを提案する。本論文ではHTML5を活用した新しい教材作成システムを紹介し、その特徴を解説する。この教材システムはスライドショー形式を採用し、静止画、解説、音声合成を組み合わせることにより。教材の修正を容易にしている。またブラウザ上で動作するので、さまざまなデバイスからアクセス可能である。これにより、ビデオ教材の制作・提供における効率性と柔軟性の向上が期待できる。本論文のシステムは、オンライン学習の未来に向けた教育技術の発展に貢献し、教育分野の変革に寄与する新たなアプローチを提供することを目指している。
Creators : Kitamoto Takuya Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
現在、様々な機械学習手法が考案され、比較的簡単に使うことができるようになっている。前回の研究[1]では、手の動作識別やそれを利用したカーソルの動きについて、深層学習を用いて学習回数が少なく高精度に識別する手法を用いたが、本研究ではその他の機械学習手法ではどうなのかを調査する。一つ一つ機械学習の手法を試していくのは、時間がかかるため、かなりの部分を自動化し、複数のモデルを比較できるPyCaretというPythonのライブラリを用いて実験を行う。PyCaretは、環境によってインストールに少し時間がかかることもあるが、それ以上に自動化によって受ける恩恵は大きい。PyCaretを使い、性能が高いモデルを探索し、それを使って 3動作識別を行うことで、遅延が少なく正確なカーソル操作を目指す。本手法では動作識別のたびに再学習が必要となるが、比較的シンプルな構成でコストも低いことから、筋電義手への応用に有用ではないかと考えられる。また、今回も前回の研究[1]を引き継ぎ、Arduino Uno R3 やMyoWare筋電センサといった安価で、手軽に実験できる機器を用いる。
Creators : Ito Masataka Kitamoto Takuya Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
高等学校理科物理分野で学習する音のドップラー効果について、五感を用いた『定性的理解』と1波長の長さを時間に換算し、その波長の変化を具体的に比較する『定量的理解』の双方からドップラー効果の理解度向上に寄与する教材の提案並びに定量的評価を行った。実験教材には音源を等速直線運動させる方法を採用することにより、音源を円運動させた場合に発生する「うなり」の影響を無効化させ、さらに、日常生活における救急車の接近・離反の現象体感を容易に再現することが可能となった。ステッピングモーターを動力として音源を高速移動させることにより、『聴覚的』に音の高さの変化を体感し、同時に観測した波形から『視覚的』に1波長の長さの変化を捉えることを通して、ドップラー効果の原理を理解するための学習に結びつけることが期待できる結果を得た。
Creators : Ishida Yutaro Shigematsu Hirotake Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
小学校第五学年理科の単元「電流がつくる磁力」における『電磁石』に注目し、児童の電磁石の 特性に関する理解度向上を目指した教材の開発及び定量的評価を行った。検定教科書に記載されて いるコイルを構成するエナメル線の直径条件0.3~0.6 mmを含む広範囲(直径0.1~0.8 mm)のエナ メル線を用いて、磁力、温度変化並びに流れる電流値を測定し、教材に適した条件の検証を行った。 磁力においては従来用いられている釘・クリップ・ワッシャーといった鉄製品が引き付けられる個 数を比べることに加え、テスラメーターを用いたコイル断面(質点)における磁束密度の定量的測 定を行った。さらに、乾電池の内部抵抗の影響を明らかにするために直流電源装置、アルカリ乾電 池、マンガン乾電池という異なる3つの電源を用いた比較測定を行い、内部抵抗の存在そのもの並 びに乾電池の劣化に伴う内部抵抗の増加がどのくらい磁力に影響を与えるかを具体的に明らかにし た。得られた結果を総合的に評価することにより、乾電池1個分の起電力である1.5 Vの電圧を使用 する条件下においては、直径0.5 mmのエナメル線(長さ10 m)を用いることが最も適していると いう結論に至った。
Creators : Kawanami So Shigematsu Hirotake Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
教育において問いは極めて重要である。問いについては多くの理論的、実践的な研究の成果があ る。しかし、これらの研究では問いとはどのようなものであるかなどの原理的な考察を欠く。その ため、問いは学習者にとって探究すべきものではないこともある。つまり、問う者が不在なのであ る。実存論的とは、問う者であるわれわれのあり方から考察することである。さらに、問う者であ るわれわれは真理を求める。実存論的な真理は自己との関係によって明らかにされる。以上から次 の3点について論じている。第1に、日常的実践としての問いは、実践に埋没していることである。 第2に、科学的認識としての問いは、客観的真理に呪縛されることである。第3に、本来的実存の 可能性としての問いである。本来的実存は、自己と世界の関係において真理を問うこととなる。そ のため、自己と世界の関係性を問い直し新たな実践を作り出す可能性を秘めることになるのである。
Creators : Tamoto Shoichi Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
本研究の目的は、教員のジェンダー観や校種、および性別により、児童生徒への意識や関わりに 違いがあるかについて、児童生徒側の性別も合わせて検討することである。対象は小中学校の教員 123名(小学校男性27名、小学校女性53名、中学校男性24名、中学校女性19名)で、2022年12月に 質問紙調査を実施した。質問紙の構成は、「役割分業観」と、男女の児童生徒それぞれに対する「生 徒への抵抗感」「指導上の困難感」であった。分析の結果、小学校男性教員は女子児童への関わり は難しいという意識が高い可能性があること、小学校女性教員は男女区別なく接している意識が高 いことが考えられた。また、中学校教員は男性教員・女性教員いずれも同性の生徒に関わりやすさ や理解しやすさを感じている可能性が示唆された。
Creators : Kasuga Yumi Tsuchiya Namiko Nagaya Kazuhisa Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
In science classes, the use of a microscope evokes an enthusiastic and exciting response from students. When students attempt to gain an understanding of the size of samples under a microscope, micrometers of two types are generally required to measure sizes. An eyepiece micrometer contains an attached eyepiece lens, while a stage micrometer is placed on the stage to provide accurate information pertaining to length. When the magnification of the objective lens is changed, the scale of the eyepiece micrometer is changed. Hence, we need to measure the scale of the eyepiece micrometer before observation for each magnification. However, students can find this principle difficult to comprehend when calculating the ratio. In this study, we introduced teaching material demonstrating the eyepiece micrometer using a kitchen towel wick in an effort to explain the principle of scale when using a microscope. This approach should prove useful in helping to clarify the principle using simple material that students can easily make themselves. Finally, this method should facilitate an understanding of difficult concepts by encouraging students to experience changes in image size from different perspectives using familiar materials, or in other words, elements of “STEAM”.
Creators : Kitazawa Chisato Yamanaka Akira Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
昨今,校則の見直しの動きが加速するなかで,校則の内容や必要性を理解するためには,各校則の制定理由を理解し,子どもと学校が互いに納得していることが重要であると考える。本研究では「小学校の校則に複数の制定理由を想定し『校則の種類』や『個人特性』が校則の制定理由に対する納得の程度に与える影響を検討する」ことを目的する。これにより,校則に関する学校の説明責任を果たす一助となることに加え,各学校の校則が「社会通念上合理的と認められる範囲」であるかどうかを再考するきっかけになることを期待する。また,アンケート調査の回答を基に分析した結果により,どの理由においても納得しにくい校則について,当該校則の必要性の再考を提案した。
Creators : Takahashi Kyosuke Ono Fuminori Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
本研究では顔の記憶課題成績と自閉傾向との関連の有無を調べた。実験の結果,自閉傾向全体の得点と顔記憶の再認課題成績についての関連は見られなかった。また,自閉傾向尺度の下位尺度の一つである「注意の切り替え」については,制限のない実験と概念情報によって記憶する実験において,注意の切り替え得点が高い群の方が成績が高かった。本研究の結果から再認記憶課題成績と自閉傾向得点との関連は見られなかったが,注意の切り替えの部分においては顔の記憶課題に影響がある可能性が示された。
Creators : Mito Harumi Ono Fuminori Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
本研究では“あがり”を軽減する要因として練習量を調整要因として,さらに,楽観主義傾向と悲観主義傾向に着目し,これらの要因が“あがり”意識と課題遂行に与える影響について検討した。その結果,練習量が多い条件では少ない条件と比較して課題遂行における失敗数が少なかったものの“あがり”意識に変化はみられなかった。練習量と楽観主義,また練習量と悲観主義の分散分析の結果,優位な差はみられなかった。また練習量が多いことにより楽観主義と“あがり”意識を構成する因子の1つである責任感に負の相関がみられた。以上より,楽観主義傾向の者には量の多い練習が“あがり”意識の軽減効果を持つ可能性があることが示された。
Creators : Kato Wakana Ono Fuminori Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
本研究では、公立小学校通常の学級に在籍する児童1名を対象とし、授業に参加しない離席行動を減少させ、授業に参加する行動がより生起(増加)するように、長期研修派遣教員と行動コンサルテーションを実施し、その効果等について検討することを目的とした。離席行動等に関するアセスメントの後、同校教員9名の協力によって作成されたストラテジー・シートに基づき、支援員も同席するフィードバック機会の設定、学級全体への支援と個別の支援の並行実践、複数の機能に対応する行動支援の同時、段階的導入を行った。それらにより、離席行動は激減し、授業に参加する行動が増え、担任の負担感も軽減した。このような結果をもたらした要因として、行動コンサルテーション実践(1)に引き続き設置した垂直サインによる提示方法、担任に対する支援案にアレンジを加えることも可とした配慮等が挙げられ、当研究で実施された行動コンサルテーションの有効性が示された。
Creators : Matsuoka Katsuhiko Okuda Kaori Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
本研究では、公立小学校通常の学級に在籍する児童1名を対象とし、大声による授業妨害行動を減少させ、発言のルールを守って学習に取り組む行動がより生起(増加)するように、長期研修派遣教員と行動コンサルテーションを実施し、その効果等について検討することを目的とした。大声による授業妨害行動に関するアセスメントの後、介入では、行動問題の生起が少ない教科における担任教師の児童に対する行動を介入案とすること、それを端的な言葉で表現した「担任支援カード」を設置する工夫等を行った。その結果、大声による授業妨害行動は減少し、担任教師の話を黙って聴く、待つなどの行動が増加した。このような結果をもたらした要因として、第3者による直接行動観察に基づく行動問題の機能同定、担任教師の技能を生かす介入案、垂直サインによる提示方法が有効であったことが示され、校内におけるコンサルテーションの有効性が示唆された。
Creators : Okuda Kaori Matsuoka Katsuhiko Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
電解質を水に溶解する際、体積の加成性は破綻し、その体積変化の程度は電解質の種類によって異なる。これは主にイオンの大きさと電荷の違いにより、水和構造に違いが生じることによる。学校でも実施可能な簡単な実験によって電解質の溶解における体積変化の非加成性を確認できれば、水分子がイオンに結合して形成される水和イオンの構造や水分子の集まり方などを原子レベルで推論することが可能と考える。そこで、電解質を水に溶解させたときの体積変化を定量的に測定できる簡便な実験を考案し、いくつかの電解質を用いて実験を行った。その結果、電解質の違いによるわずかな体積変化の違いも定量的に測定することができた。それらの実験結果を用いて計算した各イオンのみかけの部分モル体積も、これまで報告されてきた値と調和的な結果を得た。
Creators : Waizumi Kenji Kita Kazuki Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
Medical Science & Innovation Volume 70 Issue 3-4 pp. 19 - 26
published_at 2023-12
Right ventricular (RV) dysfunction and its linked arrhythmias play a crucial role in determining the prognosis of pulmonary arterial hypertension (PAH). Our paper aimed to explore the potential protective effects of direct pharmacological intervention in the RV muscle using dantrolene (DAN), a stabilizer of the cardiac ryanodine receptor (RyR2), against RV dysfunction and arrhythmia in a rat model of monocrotaline (MCT)-induced PAH. To induce PAH, male 8-week-old Sprague-Dawley rats received MCT injections. The study also assessed the induction of ventricular tachycardia (VT) by catecholamines, examining RyR2-mediated Ca^{2+} release properties in isolated cardiomyocytes. Additionally, a pulmonary artery-banding model was established to evaluate the independent effects of chronic pressure overload on RV morphology and function. In the MCT-induced PAH rat model, findings revealed RV hypertrophy, dilation, and functional decline, resulting in 0% survival rate two months post-MCT induction. Conversely, chronic DAN treatment demonstrated improvements in these RV parameters and an 80% increase in survival. Furthermore, chronic DAN treatment prevented the dissociation of calmodulin from RyR2, inhibiting Ca^{2+} sparks and spontaneous Ca^{2+} transients in MCT-induced hypertrophied RV cardiomyocytes. Epinephrine induced VT in over 50% of rats with MCT-induced PAH, while chronic DAN treatment achieved complete suppression of VT. The paper concludes that stabilizing RyR2 with DAN holds promise as a novel therapeutic approach against the development of RV dysfunction and fatal arrhythmias associated with PAH.
Creators : Tanaka Shinji Yamamoto Takeshi Kobayashi Shigeki Yano Masafumi Publishers : Yamaguchi University School of Medicine
村上春樹とアダプテーション研究 Volume 2 pp. 85 - 89
published_at 2024-01-31
Creators : 阿部 翔太 Publishers : 村上春樹とアダプテーション研究会
村上春樹とアダプテーション研究 Volume 2 pp. 81 - 84
published_at 2024-01-31
Creators : ダルミ カタリン Publishers : 村上春樹とアダプテーション研究会
村上春樹とアダプテーション研究 Volume 2 pp. 77 - 80
published_at 2024-01-31
Creators : Yamane Yumie Publishers : 村上春樹とアダプテーション研究会
村上春樹とアダプテーション研究 Volume 2 pp. 65 - 70
published_at 2024-01-31
Creators : 伊藤 弘了 Publishers : 村上春樹とアダプテーション研究会
村上春樹とアダプテーション研究 Volume 2 pp. 53 - 64
published_at 2024-01-31
Creators : Yamane Yumie Publishers : 村上春樹とアダプテーション研究会
Publishers : 村上春樹とアダプテーション研究会
Asian economic review Volume 81 Issue 1-2 pp. 1 - 14
published_at 2023-01-31
近年中国のハイスピードな経済発展により、都市化が進み、農耕地域の人々が大量に都市部へ移動した。それに伴い、著しい地方文化の変化がもたらされた。本稿では、主に、内モンゴル通遼市ホルチン中旗のA村における、1990年代と現代との婚姻習俗の比較を通し、現代における各種のサービス業の発展により、モンゴル人が結婚披露宴を実施する際には、自民族が持つ固有の伝統文化を結婚披露宴に取り入れる現象が見られるようになったこと、そしてモンゴル人が都市部で創り出した「異種混合」の文化が内モンゴルの多くの地域に流行するようになったことを明らかにしている。それは、現代の農耕モンゴル人が、地方から都市部へ移動することによって、民族のアイディティを持つようになったという意識的な「文化の再構築」の活動である。本稿では主に、農耕モンゴル人の文化の再構築の過程を考察し、現代内モンゴルにおける文化の状況について論じていきたい。
Creators : HAN Yanli Yuan Lihui Publishers : The TOA-KEIZAI Gakkai, Yamaguchi University
Publishers : The TOA-KEIZAI Gakkai, Yamaguchi University
Humans now more or less cooperate in production and distribution to maximize their own pleasure. Pleasure can be divided into direct and indirect ones. Humans can increase their own pleasure through gift-giving behavior in addition to exchange behavior. Here people encounter the question of how much of the savingsable goods that can be used for gifts should be allocated to prepare for one's future anxiety. Gifts to a partner of collaboration are made to the extent that the gift contributes to one's survival by sustaining the collaboration with the partner. This is due to the self-love motive. By excluding this self-love motive from behaviors for indirect pleasure, we focus on the giving behavior, in which an increase in the other's pleasure increases one's own pleasure. We conclude that gifts are considered to be made when the indirect pleasure that arises when a certain amount of gift is given to the other party from one's ability to save is greater than the direct pleasure that arises from allocating it to savings. Further, it is considered that the magnitude relationship between the two is determined by the donor's "subjectivity level" and the giftee's need for gifting.
Creators : Tsukada Hiroto Publishers : The Economic Society of Yamaguchi University
Creators : Yamashita Satoshi Publishers : The Economic Society of Yamaguchi University
Publishers : The Economic Society of Yamaguchi University
Creators : Fukuda Takamasa Publishers : 山口大学教育学部附属教育実践総合センター
Creators : Ono Takafumi Suto Kunihiko Publishers : 山口大学教育学部附属教育実践総合センター
Creators : Saiki Hideto Nakamoto Yuka Fujimoto Ryota Irish Cenal Oue Ryuko Publishers : 山口大学教育学部附属教育実践総合センター
Creators : Sakurai Rin Kiya Hidekatsu Publishers : 山口大学教育学部附属教育実践総合センター
Creators : Sugiura Takao Miyamoto Takeshi Oka Yuki Morishita Naruki Fukumoto Takashi Sone Ryoko Publishers : 山口大学教育学部附属教育実践総合センター
Creators : Bando Tomoko Sadayasu Nao Publishers : 山口大学教育学部附属教育実践総合センター
What can be done when the hot programming language Python is usedas a tool for macroeconomic data analysis? In this paper, while writingcode in Python, we explain the estimation of consumption functions asan example, discuss what advantages there are in analyzing economicdata using Python, and also discuss the possibilities and directions ofmacroeconomic data analysis in the future.
Creators : Hyodo Takashi Publishers : The Economic Society of Yamaguchi University
Creators : Umada Tetsuji Publishers : The Economic Society of Yamaguchi University
Bulletin of Yamaguchi Science Research Center Volume 3 pp. 45 - 53
published_at 2023-07-20
山口県中部の秋吉石灰岩においては、小澤(1923)が提案した層序の逆転について、決定的な形成モデルが提案されていない。本報告では、最近得られた知見に基づいて、形成モデル構築のための制限条件を検討する。それは、超巨大海山の衝突と生物礁の付加であり、逆転構造の広がりについての新たな地質情報である。また、海溝充填堆積物とされた常森層の形成場についての知見も重要である。これまで、確かな形成モデルが提案されなかったのは、現在の地球上に、秋吉石灰岩の逆転モデルに相当する地質イベントが存在しなかったことが関係している。斉一説に基づいた解釈が困難であったためである。今後は、新たな制約条件の下、新たな形成モデルの構築を図る必要がある。
Creators : Wakita Koji Publishers : 山口大学山口学研究センター
Bulletin of Yamaguchi Science Research Center Volume 3 pp. 37 - 44
published_at 2023-07-20
秋芳洞などの鍾乳洞は、共有の財産として適切な保護・保全・活用が行なわなければならない。しかし、鍾乳洞の形状は凹凸に富んで複雑であり、自然光が届かない中でその全貌を把握するのは難しい。本稿では、小型化・低価格化したLiDAR装置を用いて、美祢市秋芳洞・大正洞を計測することを試み、その有効性について検討した。その結果、モバイルLiDAR(Livox社製Avia)による点群データ及び3Dモデルは1963年測量の実測図と整合的であり、その有効性は認められた。しかし、優れた3Dモデルには十分な点群密度が必要である。
Creators : Kagohara Kyoko Publishers : 山口大学山口学研究センター
Bulletin of Yamaguchi Science Research Center Volume 3 pp. 30 - 36
published_at 2023-07-20
本稿は、コロナ自粛下で停滞した学生コミュニティを再活性化することを目的としたプロジェクト型課題解決研究(Project Based Learning:以下、PBL)の一部である。2021年度にコロナの影響で自宅学習を余儀なくされた現大学生は、地域や大学で自身のコミュニティを形成することが困難であった。そこで、2022年度、対面授業が主となった大学キャンパスを中心に学生の視点からコミュニティを再活性化したいと考えた。私たち学生にとって重要な食事及びコミュニケーションツールでもあるドリンクをキーとして、山口大学生活協同組合(以下、山大生協)の福利厚生施設「FAVO」のカフェ(以下、FAVO café)での試みが学生に与えた影響について報告する。
Creators : Yamamoto Kaho Mukai Riho Terauchi Takato Umibe Haruka Ariba Yukimi Isomoto Amika Ueda Masumi Publishers : 山口大学山口学研究センター
Bulletin of Yamaguchi Science Research Center Volume 3 pp. 15 - 29
published_at 2023-07-20
山口市大内地区において 2009年7月の豪雨により発生した浸水被害の特徴と土地利用の変遷について解析を行った。本地区は条里型地割が行われている水田地帯で あったが、1898年から約100年の旧版地図・空中写真の解析から、終戦後の1950年頃から水田の転用による宅地や商業地の開発が進んでいた。2009年豪雨による浸水被害は地区全体で450戸に上り、問田川両岸や旧国道262号に挟まれた標高の低い平地で顕著あった。開発にともなう水田の減少は、大内地区における雨水貯留機能を低下させており、本豪雨の浸水被害を大きくした要因の一つとして考えられた。
Creators : Yamamoto Haruhiko Watanabe Yuka Yamamoto Shoko Koba Anna Publishers : 山口大学山口学研究センター
Bulletin of Yamaguchi Science Research Center Volume 3 pp. 8 - 14
published_at 2023-07-20
山口県周防大島町にある日本ハワイ移民資料館には、明治初期にハワイに渡った日本人の記録を蓄積したデータベースがある。電子化された29,730 レコードに及ぶ記録内容を調査し、約4,000 人に及ぶ人々が、山口県の屋代島(以後、周防大島と呼ぶ)からハワイに渡った理由を考察した。また、渡航前住所をGIS(地理情報システム)を用いて周防大島町の地図上に配置し、年別の渡航者分布の拡大の様子や地理情報との関連についても考察した。
Creators : Sugii Manabu Francisco Cruz Guerra Christian Nagai Ryoko Fujiwara Mami Publishers : 山口大学山口学研究センター
Bulletin of Yamaguchi Science Research Center Volume 3 pp. 1 - 7
published_at 2023-07-20
全国には未利用なオリジナルなカンキツ類が数多く存在している。山口県のオリジナルカンキツの一つに長門大酢(ながとおおず)があり、柑きつ振興センターに1本のみが現存していると考えられている。この幻のカンキツの果実は、大果で果汁が多く、隔年結果を起こしにくいなど、加工や栽培に適した形質を有している。しかし、このような未利用カンキツについて、その価値や有用性などの検討は行われていない。そこで、具体的な利用法を示すために、長門大酢の特徴を生かした料理や菓子、調味料の材料としたレシピの作成を行い、未利用カンキツの有効性について検討した。 香酸カンキツの長門大酢は上品で爽やかな香りがあり、ユズよりもレモンに近い酸度(4.8%)、糖度(9.4%)、糖酸比(1.97)を示した。一般加工品として、長門大酢胡椒、塩長門大酢、長門大酢のドレッシング、長門大酢ポン酢および長門大酢のはちみつ漬けのレシピを考案した。また、多くの世代に受け入れられるように菓子として、長門大酢ゼリー、長門大酢のレアチーズケーキおよび長門大酢のマドレーヌのレシピを考案した。さらに、より、飲食店でも利用可能な料理として、鶏の唐揚げ長門大酢ソース、アジの長門大酢エスカベッシュ、長門大酢とサーモンのヴァプール クリームソースおよび生搾り長門大酢サワーのレシピを考案した。これらは全て家庭でも作ることができるレシピである。これらの料理から、長門大酢は爽やかな香りと柔らかな酸味を生かした調理ができることが分かった。今後、より幅広いライフステージの人々に受け入れられるレシピの開発を通じて、地域の食材による食育や未利用の農産物の掘り起こしが可能性であることを示した。
Creators : Morinaga Yae Goto Yoshiko Okazaki Yoshio Nishioka Mari Shibata Masaru Publishers : 山口大学山口学研究センター
Publishers : 山口大学山口学研究センター
Bulletin of Yamaguchi Science Research Center Volume 2 pp. 21 - 47
published_at 2022-03-01
山口の自然は、約46億年の地球の歴史の産物であり、地球の記憶を蓄積している。自然を眺めるだけの存在から、その記憶をひもとき、未来へ役立てる存在へとする活動に、ジオパークがある。ジオパークはユネスコの正式プログラムであり、地球の遺産を学び、守り、活用する活動である。山口県には2つのジオパークがあり、地質遺産を活用し、教育・保全を実施しながら、持続可能な開発を模索している。この2つのジオパークを中心に、山口県の自然について地球の記憶をひもとき、地球目線で自然を学び、楽しむ意義について考察した。
Creators : Wakita Koji Publishers : 山口大学山口学研究センター
Bulletin of Yamaguchi Science Research Center Volume 2 pp. 17 - 20
published_at 2022-03-01
本稿は山口大学研究推進体「人と移動研究推進体」、及び、山口大学山口学研究プロジェクト「山口県におけるハワイ移民のビックデータ解析と新規事業の創出」が、英語作家ジャック・ロンドン(Jack London)研究における謎を解明したことの報告である。 ロンドンは以下の3点から日本との関わりが深い作家である。(1)日本についての作品や記事を発表している。(2)日本関連の作品を発表したラフカディオ・ハーン(Lafcadio Hearn, 小泉八雲)に関心を持ち、ロンドンの創作活動にその影響が伺える。(3)多くの日本人労働者を雇っていた。上記(2)はこれまでほとんど研究されていない。また、(3)は研究されてきたが、日本人労働者の中でロンドンと最も深く親交した中田由松については全く解明されていない。 上記2種研究プロジェクトにおいて、論者は山口県大島郡周防大島町沖家室島の機関誌『かむろ』の文学・文化表象について研究を進め、その過程で中田由松についての情報を入手した。この発見はロンドン作品における異文化表象の研究に、新たな知見をもたらすものである。さらに、これまで十分に考察されてこなかった、ロンドン作品の異文化表象における、ロンドンのハーン作品受容の影響を考察する上で、有効な視座となりうる。これらの点において、この発見は今後のロンドン作品研究に新たな展開をもたらすことが期待される。 また、『かむろ』の研究はこれまで(山口大学においては)十分になされてこなかった。さらに、散見するこれまでの『かむろ』研究では、『かむろ』を主に歴史・社会的資料として取り扱ってきた。今回の発見は『かむろ』が文化・文学的資源でもあることを示すものであると同時に、山口大学が山口の歴史・文化的資源に積極的に取り組んでいることを示すものでもある。
Creators : Fujiwara Mami Publishers : 山口大学山口学研究センター
Bulletin of Yamaguchi Science Research Center Volume 2 pp. 10 - 16
published_at 2022-03-01
2019 年からスタートした山口学研究プロジェクト「SDGs によるスポーツ観光資源の開発」をベースとして、2020 年に応募した観光庁の中核人材育成事業「SDGs による山口県のスポーツ観光講座」が採択され、山口大学で講座を開講した。講座は山口県内の自然資源やスポーツ資源を活用して、アフターコロナでの観光およびスポーツの推進を目指す人材を育成するものである。ここでは、2年間の観光庁講座とスタッフで編成したユニットチームで実施した「ユニバーサルツーリズムと車いす」の実践報告も交え報告する。
Creators : Nishio Tatsuru Hashimoto Funa Kidera Kodai Naruo Yuki Publishers : 山口大学山口学研究センター
Bulletin of Yamaguchi Science Research Center Volume 2 pp. 1 - 9
published_at 2022-03-01
農産物の多くは、その時代にあった新しい品種に置き換えられ栽培が行われてきた。その一つにカンキツがあり、現在、国内で最も栽培されているカンキツ品種はウンシュウであるが、明治初期にはミカン(蜜柑)、コウジ(柑子)に次いでクネンボ(九年母)が多く、クネンボの生産額は山口県が全国一であった。しかし、今ではクネンボ(Citrus nobilis varkunep)の名前を知る人もほとんどいない幻のミカンとなり、県内でクネンボの樹があるのかさえ分かっていない。このカンキツは、江戸から明治期の食文化を考える上で重要な農産物でもあり、当時の長州と英国との異文化交流などを知ることができる貴重な食材の一つなっている。クネンボを地域の資源として現代に復元させるために、県内の品種不明のカンキツからクネンボのスクリーニングを行った。天保期の長州藩の地誌『防長風土注進案』に記載されたカンキツの地理情報や史料、気象条件などからクネンボの探索地域を3 か所に絞り込み、次いでDNAマーカーであるCAPS(Cleaved Amplified PolymeraseSequence)を用いて農研機構(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)で保存されているクネンボ(NIAS Genebank, JP 117387)と県内に自生している品種不明カンキツのゲノムDNA の多型を比較することでクネンボの探索を行った。品種同定のために既存のカンキツ112 種を識別できる7 種のCAPS からなる最少マーカーセットを選抜し、次いでアレルの組合せが多様な交雑種からでもクネンボを識別させるために5CAPS を加えたマーカーセットを使用した。しかしながら、採取したすべてのサンプルにおいてクネンボを見出すことはできなかった。特に萩地域では、品種不明のカンキツの多くが小型のナツダイダイであり、長州藩家臣の屋敷跡地や植栽図で200 年以内に確実にクネンボが植えられていた園庭であっても、クネンボを見出すことはできなかった。一方、宗像大社の祭事で用いられてきたクネンボは、農研機構と同じ遺伝子型を示した。これらの結果は、ゲノムサイエンスにより、今まで曖昧であった地域の農産物などの品種を特定すると共に、かつてはその地域を代表する農産物でありながら現在では入手困難な農産物であっても、DNA 多型を調べることで「埋もれた地域資源」を掘り起こし、復活させることができることを示唆していた。
Creators : Shibata Masaru Higuchi Naoki Motomizu Arito Okazaki Yoshio Nishioka Mari Goto Yoshiko Publishers : 山口大学山口学研究センター
Bulletin of Yamaguchi Science Research Center Volume 1 pp. 20 - 31
published_at 2021-03-16
本研究は、山口県における観光需要の季節変動性について、19 の市町における2013 年から2018 年の6 年間のパネルデータを用いて分析するものである。分析では、季節変動性に影響を与える要因を、自然的要因である気象データと社会的要因である祭りやスポーツイベント、遺産や美術館・博物館などのデータを用いて推定を行った。分析結果、(1)国内観光では、自然的要因では、日照時間、風速、降水量という気象要因が、社会的要因としては、祭り、国宝・重要文化財、記念物・天然記念物、国立公園・国定公園、動物園・水族館が、それぞれ観光需要を刺激する作用を持っていること、(2)訪日観光客では、美術館・博物館のみが観光需要の誘因となっていることが明らかになった。
Creators : Mori Tomoya Publishers : 山口大学山口学研究センター
Bulletin of Yamaguchi Science Research Center Volume 1 pp. 12 - 19
published_at 2021-03-16
本論は、ボランティア等の活動を通し、学生による様々な社会貢献について、文献と簡易な現地調査によって概観したものである。山口大学の場合、学生の学外での活動に対してサポートの歴史が長く、学生の活動内容も時代と共に変化してきている。学生の課外活動は単に変化しているだけでなく、次第に複合化し、高度化を遂げている。山口大学における学生による社会貢献の一例として、本論では2019 年度に実施されたインバウンド対応企画である「Mini Bus Tour」について紹介するが、従来型の異文化交流ツアーやモニターツアーよりも企画段階で良く練りあげられており、今後の継続次第では社会的・経済的な貢献も期待できる。
Creators : Asamizu Munehiko Publishers : 山口大学山口学研究センター
Bulletin of Yamaguchi Science Research Center Volume 1 pp. 5 - 11
published_at 2021-03-16
現代社会はグローバル化の影響を受けながらも、平和で持続可能なローカルとは何かを考えていく必要があり、学校教育においてもそうした課題に向き合える人材育成が求められている。また、新学習指導要領では高等学校において「歴史総合」・「地理総合」の必履修化が示され、それに対応する教材開発が求められている。本研究では、これらの課題を見据えながら、歴史的思考と地理的思考の両面とGIS 活用も含む学習活動について検討することとした。山口県の歴史事象を整理し、そのうち複数の題材をテーマとした座学とフィールドワーク、GIS 活用を組み込んだワークショップを開催した。座学とフィールドワークを一連とする学習形態は、参加者の主体的な学びを促すことに寄与し、身近な地域や生活の中に歴史があることが認識されると、関連する地域として世界を具体的に捉えることができるようになることが分かった。
Creators : Kagohara Kyoko Fujimura Yasuo Isobe Kenji Tamura Miwako Publishers : 山口大学山口学研究センター
Bulletin of Yamaguchi Science Research Center Volume 1 pp. 1 - 4
published_at 2021-03-16
絵画は、描かれると同時にそれらを構成している材料である顔料、接着剤(膠)、基底材(紙、板、布など)の劣化が始まるとされ、その時点から保存や補修を考える必要があると言われている。特に文化財としての価値故に保存されている絵画の修復は、その絵画を後世に伝えるという大きな役割を果たす必要がある。この修復に際して、過去に行われた修復がかえって絵画の劣化を引き起こしている事例が報告されており、主に昭和20 年代から30 年代に行われた合成樹脂を用いた修復において大きな問題となっている。その原因である劣化あるいは白化した合成樹脂層を取り除きつつ、さらに確実な修復を実現する方法が求められている。本報告では、日本画家であり国の選定保存技術保持者である馬場良治氏が開発した特殊な膠による絵画修復の作用機序について、モデル実験を通じて考察を試みた結果について述べる。
Creators : Tsusumi Hiromori Publishers : 山口大学山口学研究センター
Journal of higher education Volume 20 pp. 83 - 91
published_at 2023-03
2021 年5月、就職相談を「就職相談・キャリア相談」へと変更した。コロナ禍で疲弊する学生たちの学生生活を含めたキャリア支援を明確にするためである。学生の相談ニーズは様々である。きっかけはエントリーシート添削であっても、主訴は生活苦であったり、学業への意欲喪失であったりである。必ずしも就職だけではない多様な状況への対応が必要とされ、その体制を整備してきた。就職支援室の相談は、就職活動の方法を教えるだけではなく、悩みに寄り添うだけでもない。ライフキャリアの観点からその両方に取り組む。適切にアドバイスをしながら、未来への一歩をアシストすることが求められる。
Creators : Hirao Motohiko Publishers : 山口大学教育・学生支援機構
Journal of higher education Volume 20 pp. 73 - 82
published_at 2023-03
山口大学は2022(令和4)年度より,STEAM教育の導入を本格的に開始した。この動きの中で,共通教育において重要な役割を担うことになったのが「山口と世界」のSTEAM 科目化である。本稿においては,従来からの「山口と世界」の課題とそれへの対応を振り返るとともに,具体的にどのように「山口と世界」のSTEAM科目化を果たしたか実践例を報告する。また,実践例に則して,新たに生じた課題とそれへの対応を報告し,今後のSTEAM教育(ならびにアクティブ・ラーニング)の改善方策を考察する。
Creators : Kawasaki Masaru Publishers : 山口大学教育・学生支援機構
Journal of higher education Volume 20 pp. 69 - 72
published_at 2023-03
共通教育で開講している「環境と人間」の授業で「山口大学生(以下,学生と略)の環境マネジメント活動をどう活性化したら良いか」課題を出し,経済学部一年生からの回答をまとめてみた。学生は著者の「環境と人間」の授業の中で初めて山口大学(以下大学と略)の環境マネジメント活動,即ち環境負荷削減対応の取り組みに大変驚いている。同様に山口大学生活協同組合(以下,生協と略)の取り組みへも関心を持っている。学生は,大学の環境マネジメント活動を知る機会がないと感じており,環境関連の授業を座学だけではなく実習も要望している。大学は環境マネジメント対策部会が中心になって環境配慮活動を行っており,学生の参画は無い。ここでは学生視線からの環境配慮活性化策及び大学や生協への環境活動への要望についてまとめてみた。学生は部活,サークル,ボランティア活動を主体に環境活動を活性化できると考えている。
Creators : Fujiwara Isamu Torigoe Kaoru Publishers : 山口大学教育・学生支援機構
Journal of higher education Volume 20 pp. 66 - 68
published_at 2023-03
大学は教育研究機関であり化学物質を使う機会も多い。教育・研究活動を安全に実施するためには,化学物質に関する安全管理やその能力を付与する安全教育は重要である。2022年に公布された化学物質規制に関する法改正では,比較的少数の個別的化学物質の詳細な法規制遵守を重視する規制から,「リスクアセスメント」を基軸とする多数の化学物質の「自律的管理」重視の規制への移行が示された。この改正の内容に鑑み,現状の本学の化学物質体制では不十分と考えられる点は新たに見直す必要がある。改正法の中での特徴の一つに安全教育の徹底が求められている。これまで本学でも安全教育は各部局や各部署,研究室単位では随時行われていたが,令和4 年度は,新たに全学規模の講習会として,化学物質関連の法改正の説明,実際の化学物質管理,本学での化学物質管理支援システムの使用説明,に加えて外部の山口県警から化学物質を爆発物,を開催した。今回,実施した安全講習会のテスト理解度の結果と今後の化学物質管理体制及び安全教育についての方針をまとめてみた。
Creators : Fujiwara Isamu 森本 宏志 Kondo Kei Publishers : 山口大学教育・学生支援機構
Journal of higher education Volume 20 pp. 58 - 65
published_at 2023-03
入学時にメンタルヘルス不調を認めた新入生の半年後の精神健康状態を調査したところ、悪化16%、不変36%、改善48%であった。改善の乏しい学生は対人不安や強迫傾向が残存しやすい傾向があり、相談への抵抗感や新生活への不適応を反映している可能性がある。また、大学生活や日常生活のストレスは、精神健康状態の悪化と関連している可能性があると考えられた。対人不安を抱えた学生をどう相談に繋げるかが今後の課題である。
Journal of higher education Volume 20 pp. 54 - 57
published_at 2023-03
毎年,工学部新入生に入学前に数学学力テスト(数学プレースメントテスト)を行い,学力・理解度に応じてクラス分けを行っている。直近12年間の工学部新入生学力テストの結果をまとめた。毎年約600人の工学部全新入生を数学学力テスト結果から成績上位と下位の二つに分ける。学力下位約25%の学生は入学後週2回の数学授業を受講し学力を高める事になる。平均点は60-80点,3年周期で推移した。学生の得点は概ね7割以上であるが得点分布幅が大きい。また得点が6割以下の学生が約25%であり12年間で変化はなかったことから,クラス分けは概ね妥当であると思われる。令和3年度大学共通テストから入試問題傾向が変更になった。入試問題傾向と数学学力テストの関連について検討してみた。数学学力テストの結果は令和3年度以前と以降の成績とでは有意差は無かった。
Creators : Kinoshita Makoto Fujiwara Isamu Yanagihara Hiroshi Yanagishita Masahiro Publishers : 山口大学教育・学生支援機構
Journal of higher education Volume 20 pp. 44 - 53
published_at 2023-03
コロナ禍で入試広報に大きな変化があった。本稿では入学時調査をもとにコロナ禍前とコロナ禍での進路選択の状況や進路選択におけるコロナの影響と入試広報への接触状況を明らかにする。進路決定時期に志願者が進路選択に迷った時には,大学から発した情報や身近な人からの情報が非常に重要である。入試広報は,大学から発信する情報をいかにして周知するかが課題である。
Creators : Takemoto Marie Hayashi Hiroko Publishers : 山口大学教育・学生支援機構
Journal of higher education Volume 20 pp. 30 - 43
published_at 2023-03
近年,初等中等教育(特に高等学校教育)において急激かつ大規模にSTEAM教育の導入・普及が制度的にはかられている。高等教育におけるSTEAM教育の導入も揺籃期ではあるが,喫緊の課題となっている。他方で,STEAM教育の導入にあたっては「何を・何のために・どうやって」教育するのかをめぐって(特に「A」の位置づけをめぐって)混乱が生じている。このような状況下で,改めて「STEAM」の概念を問い直し,既存のSTEMに最後に加わったA が他の4 つと同格・同次元の存在ではなく,他の4つに目的を付与する存在であることを明らかにするとともに,高等教育でSTEAM教育を普及させるための方途を探る。方向性としては, カリキュラムの構成原理として、従来のdiscipline basedにproblem basedないしproblem orientedの要素を付加するとともに,最終目標をコンピテンシーの獲得に置くことが考えられる。
Creators : Kawasaki Masaru Publishers : 山口大学教育・学生支援機構
Journal of higher education Volume 20 pp. 20 - 29
published_at 2023-03
本研究では,在日留学生を対象に「目上の人との接し方」および「外国人に不慣れな日本人との接し方」に焦点を当てたソーシャルスキル学習を試み,その効果を検証した。その結果,ロールプレイを用いた練習により,行動レパートリーの拡充と日本人との交流意欲の高まりがみられた。スキル学習から1ヶ月後のフォローアップ調査では,学習したスキルの現実場面での実践や文化学習への動機づけの向上が確認できた。異文化適応支援としてのソーシャルスキル学習の効果が示唆された。
Creators : Nakano Sachiko Tanaka Tomoko Publishers : 山口大学教育・学生支援機構
Journal of higher education Volume 20 pp. 11 - 19
published_at 2023-03
障害等のある学生への情報保障として音声認識技術の活用が進んでいる。音声認識技術を有効活用するためには誤変換の対応が重要となる。同時に授業等の情報は音声のみではないことから、他の資料などの情報を的確に組み合わせることで授業情報の理解度は向上するはずである。 本稿では、情報の提示の仕方と理解度の相関関係を確認するためにアンケート形式の検証を実施した。アンケート調査結果と音声認識結果とを組み合わせて分析を行ったところ、情報量と理解度は比例する傾向にはあるものの絶対ではなく、正確な情報を適切な方法で提示する必要性が明らかとなった。加えて、有効な情報提示は、誤認識を補正するためにも有効であると指摘できる。
Creators : Okada Nahoko Morioka Ryuji Suto Kunihiko Publishers : 山口大学教育・学生支援機構