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Nakano Nobuhiko

Affiliate Master Yamaguchi University

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芥川龍之介作の「羅生門」の中に、下人の老婆に対する発言に関して、「嚙みつくように」という表現が用いられているところがある。現代語の「嚙みつくように」は、他に対して攻撃的な様子を表す表現として用いられることが一般的かと思われるが、近代の「嚙みつくように」は、現代語とは異なる意味を表していたと考えられる。本稿では、近代の「嚙みつくように」の用例をもとに、かつては、「相手としっかりつながるようにする様子」を表す喩えとして用いられていたのではないかということを述べるものである。あわせて、比較的最近においても、近代と同様な意味で「嚙みつく」という比喩が用いられた例があることについても述べる。
Creators : Nakano Nobuhiko Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
森鴎外作の「高瀬舟」では、高瀬舟で送られる罪人喜助について、「その額は晴やかで目には微かなかがやきがある」という描写がなされている。本稿では、近代の「額は晴やか」の用例をもとに、ここで言う「額は晴やか」は、困る様子・憂鬱な様子が見られてもよさそうな状況において、困る様子・憂鬱な様子が見られないことを表すものではないかということを述べる。あわせて、「目には微かなかがやきがある」の意味についても触れ、庄兵衛の「喜助の顔が縦から見ても、横から見ても、いかにも楽しそうで……」という観察と、「その額は晴やかで目には微かなかがやきがある」という地の文の描写の間には懸隔があると考えるべきではないかということを指摘する。
Creators : Nakano Nobuhiko Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
Creators : Nakano Nobuhiko Publishers : Faculty of Education, Yamaguchi University
Creators : Nakano Nobuhiko Publishers : 山口大学教育学部
Creators : Nakano Nobuhiko Publishers : 山口大学教育学部
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Creators : Nakano Nobuhiko Publishers : 山口大学教育学部
Creators : Nakano Nobuhiko Publishers : 山口大学教育学部