厳しい受験競争を経て入学した医学生の多くは受動的な学習態度が身についており,どのようにして入学後の早い時期に能動的な学習態度を形成させるかが医学教育の重要な課題となっている.さらに,初年次では医学とは必ずしも結びつかない一般教養科目も多く,学習意欲の低下も大きな問題となっている.このような中で医学専門教育への準備教育として医学入門を1年次前期に開講している.その現状と課題について,学生アンケートの一部結果と共に,若干の文献的考察を加えて報告した.今年度の医学入門は,小グループ学習によるコミュニケーション能力の養成を中心に,倫理,プロフェッショナリズム,医学概論,生涯教育,早期体験実習等の多岐にわたった.アンケート結果等からは,学生にとって総じて満足度の高い入門内容であったと思われた.また,我々が期待した能動的学習態度の形成も,多数の学生にそれなりの効果があったと思われた.今後は,時代の要請を取り入れた内容に柔軟に改変することにより,専門教育への準備教育により適した医学入門となるように引き続き努力する必要があると思われた.
First year medical school students are offered a course on introductory medicine to prepare themselves for professional education. The present study is aimed to explore the current situation and challenges in offering such a course. This paper shows the results of a student questionnaire administered on this course, which are then discussed in the light of literatures.We found that, after students had received communication skill training via small group learning, this course on introductory medicine helped students learn ethics, professionalism, and medical knowledge