症例は17歳男性.10歳時から時々血便を認めていたため,17歳時に近医で下部消化管内視鏡検査を施行された.肛門縁に接して,ほぼ全周性に白色顆粒状隆起の集簇からなる腫瘍を認め,生検の結果serrated adenoma(SA)と診断された.CT,PETでは直腸以外に病変はなく,腫瘍マーカーの上昇は認めなかった.下部直腸に限局するSAと診断し,経肛門的粘膜下層切除術を施行した.病理組織診断は中等度異型のSAであり,術後8日で退院した.非常に稀な若年発症の下部直腸Serrated adenoma を経験し,経肛門的切除術を施行することにより肛門機能を温存した治療が可能であった.