今回,我々は腫瘍局所治癒切除後,1年目に巨大潰瘍を伴い残胃内再発した悪性リンパ腫の1例を経験した.症例は70歳代,女性で2006年4月頸部リンパ節の生検で濾胞性リンパ腫と診断された.PET検査で全身の多数箇所に異常集積を認め,リツキシマブを含む全身化学療法を施行し治療効果CRが得られた.2007年6月吐血を契機に胃悪性リンパ腫を診断され,全身状態を考慮して胃局所切除のみ施行し術後14日目に軽快退院した.病理組織検査ではびまん性B細胞性リンパ腫と診断され,追加の化学療法は投与しなかった.2008年6月下血を認め,精査再入院となった.胃内視鏡検査で胃噴門直下の小彎側に潰瘍を伴う腫瘤を認め同年,7月2群リンパ節郭清を伴う胃全摘術を施行した.病理組織検査では前回切除病変と同じびまん性B細胞性リンパ腫であった.同年9月に悪性リンパ腫の全身再燃を来たし永眠された.若干の文献的な考察を加えて報告する.