癌が異なる臓器に存在しかつ別個に発癌する重複癌の頻度は,1980年以降の調査で1.53-8.5%の頻度で,高齢化や治療の進歩による第一次癌の生存率の向上により頻度は上昇傾向にある.他臓器重複癌は患者管理に大きな影響を及ぼすため検出は重要であるが,全身諸臓器の検索が可能な18F標識フルオロデオキシグルコース(FDG)PET/CT検査は,その検出に有用な検査法になる可能性がある.本研究では,当施設で3374例に行われた腫瘍関連のFDG PET/CTで認めた他臓器重複癌例を検討し,本検査の他臓器重複癌の検出における有用性を検討した.FDG PET/CTで検出された他臓器重複癌は17例(0.5%)の18病変で,同時性重複癌が10例(58.8%),異時性重複癌が7例(41.1%)で,頭頸部癌で検出された例が最も多く,臓器別では胃,肺に多かった.このうち6例(35.2%)ではPET/CTが重複癌発見の契機となった.7例(41.1%)は比較的早期の癌で根治的に腫瘍切除が可能性であった.FDG PET/CTは予期せぬ他臓器重複癌を非侵襲的に検出する手段として有用で,重複癌を来たし易い癌や臓器を念頭に置き読影する必要がある.