症例は80歳代,男性.3日前より臍上部に疼痛を認め,近医を受診した.同部位に一致して鶏卵大の柔らかい腫瘤を認め,腹部エコーでtarget signを指摘され,腸重積症の疑いで当院に紹介された.腹部CT検査を施行したところ,横行結腸にcoil spring appearanceを認め,その先進部にはCT値がfat densityで3×5cmの楕円形腫瘤像を認めた.大腸脂肪腫による腸重積と診断し緊急手術を施行した.術中,横行結腸中央に腸重積を認め,Hutchinson手技にて整復したのち腫瘤を確認し,横行結腸部分切除にて腫瘍を完全切除した.腫瘍は5×3×3cmの亜有茎性粘膜下腫瘍であり,病理組織学的には成熟脂肪組織から構成される脂肪腫であった.術前のCT値から大腸原発脂肪組織由来腫瘍による腸重積症とし,すみやかに加療し,良好な経過を辿った一症例を経験したので報告した.