著者らは水素と塩素を用いて塩酸を合成する反応のエネルギーを電力として回収することを目的としてこの研究を行った.用いた電極は円筒状に成型, 焼成した炭素電極で, 内径20mm, 肉厚4mm, 有効長80mmである.電解液はIN塩酸溶液を用いた.この電池を放電させる場合の放電電流と両極の分極の状態, 白金による電極の賦活, パラフインによる電極の防水効果, 電池の作用温度と分極の関係, 供給する水素, 塩素の圧と分極の関係などを測定した.塩素極は水素極に比しはるかに活性が高く白金賦活や防水を必要としないが, 水素極は必ずこれを必要とする.また塩素は電解液に対する溶解度が高いため液中を拡散して直接水素極上で反応する難点があるが, 白金を含ませた素焼円筒で水素極を囲むことによりこれを防止した.