はじめに : 本稿は、マレーシアにおける美術教育の調査の一環であり、同国の教員養成機関のカリキュラムと実態調査を報告するものである。今回は、前回までに調査を行ったクアラ・ルンプールに設置されている特別教員養成学院(Maktab Perguruan Ilum khas, Kuara Lumpur)とは別に、全国に31設置されている教員養成学院で、ペナンとコタバルについて取り上げ、その現状を報告する。この2つは伝統的な文化を美術教育の環境として有しており、ペナンでは歴史的に中国系の文化が多く継承されている。一方、コタバルではマレー人がその多くを占め、マレー文化を根強く残しているという状況がる。こうした伝統的文化と美術教育の教材について考察を試みる。