26歳の初妊婦が妊娠10週にAPTTの延長および第VIII因子(FVIII)活性の低下が認められ血液内科に紹介された.von Willebrand 因子(VWF)の活性(VWFリストセチンコファクター,VWF:RCo)および抗原量の低下,血小板リストセチン凝集能(RIPA)の低下,高重合VWFの欠如によりvon Willebrand病(VWD),type2Aと診断された.妊娠維持中は出血症状は認めなかった.妊娠39週に,分娩時および産褥期にFVIII/VWF濃縮製剤を補充し経膣的に分娩した.分娩時の出血量は964mlで多かったが輸血は不要であった.娩児は直後は仮死状態であったが,気道内吸引により速やかに蘇生しその後は合併症は無く生育している.また産褥期の大量出血はなかった.