【目的】医師不足が深刻化する中,地域における必要な医師数を把握することの意義は大きい.本研究では,山口県内の病院長を対象に各病院における診療科別医師の現在数ならびに必要数を調査することにより,山口県内の病院必要医師数算出の試みを行った.【方法】山口県内の全病院(山口大学医学部附属病院除く)の病院長を対象に,診療科別医師の現在数,必要医師数(現在数含む),必要の喫緊性を記入する調査票を送付し,回収した.これらを積算して全体の値を算出するとともに,不足数(必要数―現在数),不足率(不足数/必要数),喫緊不足率(喫緊不足数/不足数)の3つの指標を用いて,診療科別の不足状況を評価した.【結果】147の病院のうち,119から回答があった.全診療科では,現在数は1593名,必要数は2202名で,不足数は609名であった.総じて,どの診療科も医師は不足していたが,呼吸器科,神経内科,小児科,整形外科,産婦人科,麻酔科,救命救急科では,特に不足感が強かった.医療圏により不足感の強い診療科は異なっていた.【結論】本研究により,山口県の診療科別医師不足状況が定量化できた.この結果は,今後の診療科別の医師育成や適正配置を考えるうえで貴重な資料となりうる.