56歳,女性が3年前に胃mucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫と診断された.Helicobacter pylori(HP)陽性であり除菌を施行されたが不成功でありその後は経過観察されていた.2年後に右眼瞼腫瘤を指摘され生検にてMALTリンパ腫と診断され,胃ではMALTリンパ腫の増大,肺の浸潤影を認めた.胃MALTリンパ腫の生検では瀰漫性のリンパ球の浸潤および一部には形質細胞への分化を認めた.血清中の単クローン性IgM,λの増加,骨髄では形質細胞の浸潤を認めた.HPに対して2次除菌を行い成功した.次いでrituximabとcladribine(2-chlorodeoxyadenosine,2CdA)の併用,R-2CdA療法を4コース施行しMALTリンパ腫は縮小しIgMは減少したが正常値にはならなかったのでCHOP療法2コースを追加しIgMはさらに減少した.MALTリンパ腫における長期間にわたる多様な臨床経過に対し注意深い観察および必要な時に適切な治療を行うことが必要である.