山口医学

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山口医学 Volume 53 Issue 6
published_at 2004-12-31

Surgical ligation of patent ductus arteriosus in premature infants

未熟児の動脈管開存症に対する外科治療
Kobayashi Toshiro
Hayashi Kenji
Sakata Kensuke
Kobayashi Yurio
fulltext
702 KB
B030053000605.pdf
Descriptions
未熟児動脈管開存症は左心系への容量負荷のため,心不全を引き起こし,その状態から全身の破綻,頭蓋内出血,壊死性腸炎,肺出血,腎不全等の生命予後を決定付ける重大な合併症を引き起こす.今回,当施設において経験した未熟児動脈管開存症例について,プロスタグランディン合成阻害薬無効症例,もしくは非適応症例に対し,外科的結紮術を施行した30症例について,そのうちカルテにて検索し得た26例をretrospectiveに検討した.26例中,死亡例は7例(27%)であったが,手術そのものが起因すると思われる死亡例は無かった.生存例(19例)と死亡例(7例)との比較で在胎週数,出生体重,手術時日齢,手術時体重はいずれも両群間で有意差を認めなかった.PDAの直径は有意に(p<0.05)生存例の方が大きかった.死亡症例は術前から未熱性に起因する壊死性腸炎,腎不全,,頭蓋内出血,双胎間輸血症候群等の重篤な合併症を引き起こしている症例が多かった.当院における未熟児動脈管開存症に対する外科的結紮術の成績は,手術そのものによる合併症もほとんど無く,安全に行われるため,重篤な合併症を引き起こす前に早めの手術が望まれると考えられた.
Creator Keywords
未熟児
動脈管開存症
外科手術
合併症
Rights
本文データは山口大学医学会の許諾に基づきCiNiiから複製したものである