Ⅰ,Ⅱを総括して述べる。電子顕微鏡の高性能と高能率を発揮せしめるための物的要素の集成としての実験室条件、人的要素の集成としての使用者の条件について詳述したのであるが、両者を比較してみると大きな相違が見られる。即ち、前者には一定の限度は設けられるが、後者には限度は設けられないということである。物には数量的、質的に機能の最大限界が決められるに反し、人間には数とか納涼区の保有だけで機能発揮の限界が決められない。感情と意欲、換言すれば熱意と努力の傾注、人間の行為の内部にはこのような無形の要素が包蔵されている。更に研究所の如く集団自覚と反省の伴った協同行為が必要である。以上を要約すれば、成果のあがるか否かは実験室条件に使用者条件が如何に適応して行くかによる、と確言出来るのである。