症例は18歳の男性.嘔気・嘔吐を主訴に近医を受診し,膵頭部腫瘤を指摘され当科へ紹介となった.膵頭部に82×53mm大の境界明瞭な被膜様被包のある腫瘤があり,内部に隔壁と石灰化を認めた.内視鏡的超音波画像下針生検(EUS-FNA)を行い,solid-pseudopapillary tumor(SPT)を疑われ,十二指腸温存膵頭部切除術を行った.術後の病理所見では,多角形の腫瘍細胞が血管間質を伴ってシート状に増生している像や,毛細血管の芯(core)を有するpseudopapillaryな像も見られSPTと診断した.術後経過は良好で,現在術後1年であるが再発所見は認めていない.本疾患は低悪性度腫瘍と考えられているため,今回我々が行った十二指腸温存膵頭部切除術のような,臓器機能を温存した手術のよい適応と考えられる.
膵頭部
solid-pseudopapillary tumor(SPT)
十二指腸温存膵頭部切除術