原発性肺癌に対して低侵襲手術である胸腔鏡補助下手術が普及してきた.胸腔鏡補助下手術は従来の標準開胸手術と比較して術後疼痛を軽減し,術後呼吸生理機能の回復を促し,術後在院日数を減少させた.しかし,術後の急性期成績をさらに向上させるためには肺切除後の残存肺からの肺瘻,すなわち空気漏れを確実に制御する必要がある.従来,肺切除後の肺瘻閉鎖には縫合糸による縫合およびフィブリン接着剤による閉鎖が行われてきた.このような用途におけるフィブリン接着剤をはじめとした生体接着剤の有用性について海外を中心に数々のランダム化比較試験が行われてきた^{1)}.残念ながら,生体接着剤の単独使用では必ずしも満足のいく肺瘻閉鎖効果が証明されているとはいえない^{1)}.その一方で,我々はフィブリン接着剤に生体吸収性メッシュを併用することにより,肺瘻閉鎖の効果が有意に向上することを示した^{2-4)}.その具体的な手技,成績について紹介する.