血液悪性腫瘍に対し,ドナー血球の生着と抗腫瘍効果を期待し,従来骨髄破壊的・免疫破壊的な強力な移植前処置が行われてきた.この強力な前処置は毒性も強いため,若年者で全身状態の良好な患者にしか施行できなかった.しかし,これまでの臨床研究で,前処置の強度を軽減してもドナー血球が良好に生着することが確認されてきた.当科でも当初倫理委員会の承認を得て,2002年10月からReduced intensity conditioning stem cell transplantation(RIST)を開始している.今回我々は,2002年10月から2007年12月までに,初回同種移植としてRISTを施行した20症例について後方視的解析を行った.平均年齢は50.2歳で,疾患は悪性リンパ腫が8症例と最も多かったが,多岐に及んでいた.3年間の全生存,無進行生存,再発率,移植関連死亡はそれぞれ,57.8%,46.7%,31%,30%であった.移植血球生着については,好中球生着率100%で,生着中央日は13日であった.血小板生着については,移植後50日までで生着率94.3%で生着群での生着中央日は23日であった.移植片対宿主病(GVHD)については,急性GVHDは,grade II-IV 44.4%の発症率で,慢性GVHD発症率は移植後2年までで82.1%であった.また,移植関連毒性について多変量解析を行い検討したところ,高齢や臓器障害の有無は有意でなく,RIST施行の目的は果たされていると考えられた.これまでのRIST施行症例の移植結果をまとめるとともに,今後の方針について考察し報告する.