山口医学

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山口医学 Volume 57 Issue 6
published_at 2008-12-31

An examination for elderly cases supported by mechanical ventilation after emergency abdominal surgery

緊急開腹手術後に人工呼吸器管理を必要とした高齢者の検討
Eto Ryuichi
Shimizu Ryoichi
Ozasa Hiroaki
Kondo Hiroshi
Tanaka Hiroko
Kitase Akira
Hashimoto Shinichi
fulltext
775 KB
B030057000605.pdf
Descriptions
高齢者の緊急開腹手術後に呼吸不全を合併すると重篤な状態に陥りやすい.当院で緊急手術後に人工呼吸器管理を必要とした最近の症例をもとに,一般病院における術後呼吸管理の要点と有用性について検討した.対象症例は2006年4月以降の7例で男性2例,女性5例であり,年齢は80歳から88歳で平均は83.9歳.術後診断は小腸の癒着による腸閉塞2例,十二指腸潰瘍穿孔1例,結腸,直腸癌による大腸穿孔2例,上腸間膜動脈閉塞症1例,腹腔内膿瘍1例であった.発症から手術までの時間は最短2.5時間,最長10日であった.術後呼吸障害の原因は,手術や麻酔の侵襲,大量輸液,輸血による水電解質異常や,貧血,循環血症量の減少や敗血症による循環不全,術前からある肺合併症であった.術後人工呼吸日数は手術当日を含め2日から99日で平均27日であった.手術直後のPaO_2/FiO_2比が200未満の症例で長く,長期化する要因は肺炎,胸水,SIRSに伴う呼吸障害であった.2例が死亡し,上腸間膜動脈閉塞症の腸管大量切除後で残存腸管の虚血を起こした1例と,原因不明の腹腔内膿瘍1例であり,いずれも発症から手術までの期間が長く,手術により原因の排除が完全にはできなかった症例であった.緊急手術と術後の治療で病因が排除できれば患者救命のための人工呼吸器管理は高齢者においても有用である.
Creator Keywords
緊急手術
人工呼吸器管理
術後呼吸不全
高齢者