胃Gastrointestinal Stromal Tumor (GIST)の同時性多発肝転移に対し胃全摘術後にimatinib mesylateの投与が奏効した1例を経験した.症例は75歳,男性.吐血を主訴として来院した.胃内視鏡検査で胃体上部後壁に出血性潰瘍を伴う粘膜下腫瘍(SMT)が認められた.CT検査では左上腹部を占める12cmの腫瘤と多発性肝腫瘍が認められ,胃全摘術が施行された.免疫染色の結果はKIT(+), CD34(+), S100(-), smooth muscle actin (SMA)(-)で,胃GISTと診断された.非切除に終わった肝転移に対し術後1ヶ月目よりimatinib mesylate 400mg/day投与を開始した.投与開始後2ヶ月目のFDG-PETで肝転移巣の集積は消失し,1年後も同様の所見であった.胃GISTの多発性肝転移に対し,原発巣切除後のimatinib mesylate投与は有効と考えられた.
本文データは山口大学医学会の許諾に基づきCiNiiから複製したものである