基礎的検討としてマウスに四塩化炭素を週に2回,4週間投与すると,重度の肝障害を誘発し,急激に肝線維化が進行し肝硬変に進展した.これに同種同系のGreen Fluorescent Protein (GFP)マウスの骨髄細胞を尾静脈から投与し,その後も4週間四塩化炭素の投与を続けて,肝障害を持続させたところ,尾静脈より投与された骨髄細胞は,硬変肝内に浸潤定着した.これら骨髄細胞は,肝芽細胞を経てアルブミンを産生する肝細胞へと分化した.四塩化炭素投与による炎症と言う微小環境が,骨髄細胞から肝細胞への分化に本質的に重要なものと考えられた.骨髄細胞移植によって肝硬変のマウスの肝機能は改善し,肝線維化の減少と生存率の向上が見られた.これら,基礎的研究を基に現在臨床研究を始めているが,ほぼ全例で肝機能改善と肝線維化マーカーの減少が見られている.
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