山口医学

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山口医学 Volume 53 Issue 3
published_at 2004-06-30

A Case of Goblet Cell Carcinoid Tumor of Vermiform Appendix Diagnosed following appendectomy for acute appendicitis

虫垂炎にて発症した虫垂杯細胞カルチノイドの1例
Ozasa Hiroaki
Shimizu Ryoichi
Toshimitsu Hiroaki
Matoba Katsuhiro
fulltext
790 KB
B030053000308.pdf
Descriptions
症例は59歳男性.下腹部痛,背部痛を主訴として来院した.理学的所見,血液学的所見,腹部CT検査にて急性虫垂炎と診断し,虫垂切除術を施行した.術後病理組織検査で虫垂杯細胞カルチノイドと診断され,術後第8病日に追加手術として回盲部切除術を施行した.虫垂杯細胞カルチノイドは本邦において稀な疾患であり,カルチノイド類似像と腺癌類似像の両方を有し,予後不良といわれている.このため,初回あるいは追加手術で回盲部切除術または右半結腸切除術が行われる傾向にある.本症例は杯細胞カルチノイドが原因で発症した虫垂炎と考えられた.組織学的に腫瘍の脈管浸潤は認められなかったが,漿膜に露出しており,その悪性度を認識させられた.追加切除標本には腫瘍の残存を認めなかったが,追加手術の妥当性について検討した.また,日頃虫垂炎を診療するにあたり,抗生物質で治癒せしめる場合もあり,稀ではあるが本疾患がその原因となること,また手術において切除された虫垂の肉眼的・組織学的検討の重要性を認識したので報告した.
Creator Keywords
虫垂
杯細胞カルチノイド
虫垂炎
Rights
本文データは山口大学医学会の許諾に基づきCiNiiから複製したものである