山口県内で1978~1994年度の間に生じた急傾斜地の豪雨時災害件数346のうち, 174件(50.3%)が深成岩からなる斜面で生じたものであった。山口県内における深成岩のうち約98%は白亜紀花崗岩類に分類され, それらは広島型と領家型とに大別される。著者らは白亜紀花崗岩類からなる崩壊した斜面データを整理するとともに, 1993,1995年の豪雨によって崩壊したものについて岩石学, 土質工学, 防災工学の立場から調査した。その結果, 全崩壊件数のうち, 90件が広島型花崗岩類からなる斜面で発生し, 83件が領家型花崗岩類からなる斜面で発生していることがわかった。また, 両花崗岩類の間には岩石学的な差異はあまり見られないものの, 斜面表層土の力学的性質にはかなりの違いがあることがわかった。