山口医学

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山口医学 Volume 7 Issue 6
published_at 1958-11

Actionpotentials of the Heart Muscles and Electrocardiogram. I. Studies on the Perfused Toad's Heart.

心筋活動電位と心電図 I. 蟇の灌流心臓についての実験
Takeo Yoshinaga
Descriptions
八木-Haltung氏法により灌流している蟇の心臓について、リンゲル液中に不関電極を置き、主として表面電極を深査電極として心房、心室底部、心尖部より心電曲線を誘導し、得られた曲線と心筋細胞の活動電位との関係に就いて考察し、誘導方法、剔出後の時間経過、2,3の薬品及び灌流液のpHにより、これ等の曲線が何如変に化するかを検討し次のような成績を得た。1.不関電極部の電位変動が関電極部のそれに比し無視し得る場合には、本法によって得られる心電曲線は模式的には誘導部における心筋活動電位の微分曲線と解し得るが、実際上は不関電極部の電位変動が大きいため、得られる心電曲線に歪曲が見られる。2.心房筋と心室筋の間には明らかにその活動電位の時間経過があると思われる。前者は後者に比して経過が早く所謂平坦部が現れ難いものと推測される。然し心室筋底部と心尖部を比較した場合、著しい相違は認められなかった。3.剔出後時日を経るに従い、心電図のQ-T及びT波に相当すべき部に最も著明な変化が現れる。心筋に就いては先づ再分極が円滑に行われなくなり、搏動が不整となり心室粗動の現れる時期には、正常時に行われない異常代謝反応の存在を疑わしめる。4.Acetylcholine, Nor-Adrenaline, Tetraethyl-ammoniun及び灌流液のpH変化による心電曲線の様相を、従来発表された文献の成績と比較すると、第1項に述べた考え方に誤のないことを思わしめた。