山口医学

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山口医学 Volume 69 Issue 3
published_at 2020-09-25

Temporal trends in the incidence and clinical characteristics of hydrocephalus requiring cerebrospinal fluid shunt at kanmon medical center

関門医療センターにおける髄液シャント術を要した水頭症の変遷
Izumihara Akifumi
Yamashita Katsuhiro
fulltext
1.85 MB
B030069000303.pdf
Descriptions
水頭症は日常的によく遭遇する脳神経外科疾患であり,髄液シャント術が標準的に行われている.近年の少子高齢化や医療の進歩により水頭症診療は大きく変化していると考えられる.今回,当院における髄液シャント術を要した水頭症の変遷について検討した.2002年4月1日から2017年3月31日までの15年間に当院にて髄液シャント術を受けた水頭症患者164例(男性75例/女性89例・年齢0-91歳/平均64.3歳)を対象とした.5年毎に前中後期に分けて水頭症の原因,髄液シャント術の内容と合併症,クモ膜下出血後水頭症の場合の破裂脳動脈瘤に対する治療法などを後方視的に調べた.髄液シャント術が181回(前期79回・中期44回・後期58回)施行されていた.後期に女性から男性優位の傾向に,より高齢になった.クモ膜下出血後水頭症72例/76回,特発性正常圧水頭症(以下,特発性)31例/33回,先天性・小児性水頭症8例/10回などであった.後期に特発性が急増し,中後期にクモ膜下出血後と先天性・小児性が減少していた.脳室腹腔シャント術(ventriculo-peritoneal shunt:VPS)149回腰椎クモ膜下腔腹腔シャント術(lumbo-peritoneal shunt:LPS)29回などで中後期にVPSは減少し,後期にLPSが急増していた.再手術を要した手術合併症は17例(シャント感染7例・シャント不全5例・硬膜下血腫5例)であった.後期にシャント感染を認めなかった.破裂脳動脈瘤に対する開頭手術151例/脳血管内手術24例のうち,それぞれ59例(39.1%)/7例(29.2%)でその後の髄液シャント術を要した.前期から後期にかけて髄液シャント術を要したクモ膜下出血後水頭症発症の割合が特に脳血管内手術例で減少していた.特発性の急増と先天性・小児性の減少は少子高齢化の影響と考えられる.髄液シャント術を要したクモ膜下出血後水頭症の割合の減少と破裂脳動脈瘤に対する脳血管内手術との何らかの関連が示唆される.
The aim of the present study was to clarify temporal trends in the incidence and clinical characteristics of hydrocephalus requiring cerebrospinal fluid shunt. A total of 164 patients(75 men and 89 women
Creator Keywords
水頭症
髄液シャント術
少子高齢化
脳血管内手術