出生前診断の進歩に伴い,先天異常は胎児期に予測できることもあるが,依然として出生後に判明することも多い.「新生児期に児の先天異常が疑われ,診断確定を待つ」という不確定な状況は,母子の愛着形成に影響を及ぼす可能性がある.この時期に,看護師は母子の愛着形成を促し,親子の関係形成をはかるための「親子関係形成ケア」を実践しているが,ケアを受けた母親の認識を調査したものはない.そこで,「新生児期に児の先天異常が疑われ,診断確定を待つ」時期に,母親が受けた親子関係形成ケアに対する認識の実態を明らかにすることを目的とし,ダウン症児の母親59名に対し,質問紙調査を行った.母親が受けた親子関係形成ケア21項目に対する認識について因子分析を実施し,母親の認識に影響する要因について重回帰分析を行った.その結果,母親が受けた親子関係形成ケアは『わが子に対する理解を助ける支援と情報共有』,『愛着形成を促す支援』,『看護師の態度』に分類された.母親の認識として,「変わりない態度」については,76%の母親が肯定的に捉えており,「子どもの成長を教えてくれた」は85%,「育児のケアで意思を尊重してくれた」は63%が肯定的に捉えていた.一方,「タッチング」「抱っこ」など『愛着形成を促す支援』について肯定的であったものは4割に満たなかった.これらの認識に影響する要因をみると,『わが子に対する理解を助ける支援と情報共有』については初経別,NICU/GCU入院の有無,『看護師の態度』では最初の説明時期,診断確定の説明時期,および呼吸に関する治療の有無との関連が認められた.この時期の親子関係形成ケアは,母親の育児経験,児の重症度,疾患・検査の説明時期を考慮し,親と話す時間や環境の調整を行いながら実践を丁寧に行っていくことが大切である.
Some congenital malformations can be diagnosed during pregnancy, but many others are suspected after birth and genetic testing is conducted in neonatal setting. Parents have to take care of their children in an uncertain situation until the diagnosis is confirmed. The aim of this study was to clarify the mothers’awareness and its related factors of neonatal care they receive before having genetic testing for their infants with suspected congenital anormaly. In this cross-sectional study, 59 mothers who have children with Down syndrome completed a questionnaire through family peer support associations. As the results of factor analysis, mothers’awareness of nurses’facilitation of parental attachment consisted of three categories