生活習慣病の予防には早期から健康的な生活習慣を確立する必要がある.また,生活習慣病対策の立案と評価にあたり,対象となる集団における健康に関連した生活習慣のアセスメントと変化のモニタリングをできるだけ正確に行わねばならない.本研究は,地域における生活習慣病対策の立案ならびに評価の基礎資料を得るための試みとして,新成人を対象とした健康関連生活習慣調査を行った.山口県内の3市町の成人式(平成22年1月)において,新成人に調査票を配布し,当日提出または後日郵送にて回収した.主な調査項目は,基本属性,自覚的健康度,健康に関連した生活習慣(食生活,運動習慣,飲酒経験,喫煙等)であった.配布数は1761で,有効回答数は324(有効回答率18.4%)であった.自覚的健康度が「あまりよくない/よくない」の者6.8%,朝食を欠食しやすい者32.1%,運動習慣のない者74.1%,飲酒経験者84.6%,現在喫煙している者8.8%であった.学生に比較して,就業者で有意に喫煙率が高かった(オッズ比=3.6).回答率は20%に満たず,喫煙率が過少に見積もられている可能性が高く,調査の課題が明らかになった.就業者の高い喫煙率から,低い学歴または早期の社会参加が喫煙を促進することが示唆された.効率的にかつ精度高く生活習慣を評価できる調査方法,調査の結果を活かした介入方法を検討する必要がある.