一次元及び二次元法による血清蛋白とトリプシンの交叉泳動を行った。すなわち、トリプシンと血清を向かい合わせてぬれば、両者は反対方向に泳動するから、泳動の途中で遭遇する。これが、一次元交叉泳動法である。また二次元交叉泳動法では第一回泳動で血清のみを泳動させ、ついでトリプシンを血清に垂直の線上にぬり、最初の泳動に対して、垂直の方向へ第2回の泳動を行う。トリプシンの前線は血清蛋白の各分画を横切るがインヒビターのある分画のところで「くぼみ」を作る。すなわちトリプシンの線が血清中のトリプシンインヒビターの分布を示すことになる。人血清では、この交叉図形に2個のインヒビターが存在することを示す2個の「くぼみ」が見られる。一つはα1グロブリン、他はα2グロブリンであった。 牛、馬、豚、羊、猫、兎、モルモット、犬の血清を同じ方法で研究した。牛、豚、猫以外は二つのインヒビターが存在すると結論し得た。