MDCEVモデルは離散―連続モデルの一つで、複数の商品や選択肢に対する消費行動を説明する有用な分析手法である。MDCEVモデルでは尤度の導出に大量の計算を必要とするため、一般にその推定には多大な時間がかかる。本研究では、MDCEVモデルの尤度の計算にGPUによる並列計算を導入することで計算効率の向上を試みた。その結果、GPUを使って尤度を計算することで、CPU による並列化を使った計算と比較して約1/10から約1/7程度、並列化を行わない計算と比較すると約1/30から約1/17程度、計算時間を短縮した。また、比較的安価なシステムであってもGPUを使うことで計算時間を短くできることを示した。