Kim(2002)は, 米人は言語を発声させられることで影像的問題の解決能力が上がり,言語発声を阻止されることで問題解決能力が下がるのに対して,アジア人は言語発声の阻止であまり影響されず,逆に発声させられることで問題が解決できなくなる結果から,アジア人の思考は言語的でないという結論を出した。本論では,Lacan(2007)の《鏡像から言語へ》とう自己発達論を逆転したテーゼに基づき,まず日本人が内言するより想像をすることを確かめた。次にKimの実験における言語と影像を置き換え,米人は影像を思い浮かべることでも,創造を阻止されても,言語的問題解決能力があまり影響されないのに対して,日本人は想像で問題解決能力が上がり,想像を阻止されると問題解決能力が下がる結果から,日本人の思考の主たる媒体が言語より影像である結論へと導き,思考とは何かまで考察を広げた。