山口経済学雑誌

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山口経済学雑誌 Volume 16 Issue 1
published_at 1965-09-30

Notes on the division of labour and its ”abolition” under Kommunism (I)

「分業」および「分業の廃棄」について(I) : 研究ノート
Nakano Yusaku
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2.54 MB
C050016000102.pdf
Descriptions
分業の概念規定をめぐって以上にのべたことを、いくつかの点にまとめておこう。第1,社会的分業(分業はつねに社会的分業である)は、生産諸力の内部で生産力と生産関係とのエレメンタールな統一を形成する協働関係(社会的労働組織、労働有機体)の独特の歴史的形態であり、人間労働の本来的社会性の特殊な(疎外された)形態である。第2、この特殊性の本質は、人間労働の社会的分割、個人や社会集団の活動場面の限定のうちにあり、具体的には社会的労働の専門化、社会成員の職業的分化のうちにあらわれる。第3、したがって、全体としての分業概念は、生産諸力発展の一定の表現であり、それ自体独自の生産力であると同時に、社会的生産力の主体的契機たる人間労働の統一性をうちこわし、人間自体の畸型的発達と職業白痴を生み出すという相矛盾する二側面の統一であるが、この統一の基礎は後者にある。第4、社会的分業(労働の社会的分割)は、生産の専門化(生産の社会的分割)の不可欠の成分ではあるが、それと同じものではない。両者の一致は、社会的生産発展の特定段階にのみ妥当し、機械制大工業によって技術的に廃棄される。第5、以上の意味において、マニュファクチュ分業こそが社会的分業の「典型的姿態」(マルクス)である。