Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University Volume 72
published_at 2023-01-31
本研究では、特別支援学校の重度・重複障害学級の卒業生の保護者4名を対象に、卒業後のわが子の実態の変容、在学時にわが子と学校に抱いていた思い、現在に活かされている学び等について聞き取り調査を行った。保護者は卒業後のわが子の状態が安定していることに安堵する一方で、在学時とは異なり目標がなくなったことに物足りなさを感じていたり、卒業後の体調面の悪化を想定しきれなかったことに後悔の念を抱いたりしていた。わが子が健康で楽しく学校生活を送ることを第一に願う点は共通していたが、重度の障害のあるわが子に教科学習や新たなことができるようになることを諦めている者がいた。在学時の教育活動を肯定的に評価する一方で、卒業後の生活環境の制約や介護上の負担から在学時の取組の継続が困難であること、移行先への引継ぎの不十分さを指摘した事例が認められた。これらの課題を踏まえて、重度・重複障害のある子どもへの教育について考察した。