Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University

Faculty of Education, Yamaguchi University

PISSN : 2433-3670
NCID : AA12810513

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Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University Volume 72
published_at 2023-01-31

Systematicity of learning including “Seeing”(5) : the tale of the Genji“Suma”

「見る」を含む学習の系統性(5) : 源氏物語「須麿」
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1.81 MB
山口大学教育学部研究論叢_72_014.pdf
「須磨」巻は源氏物語を読み解くための要所である。そのため本稿では2002年に制作された現代の源氏絵と高校教科書採録の「須磨の秋」原文を対照させながら対話的に読む授業提案を行う。須磨での光源氏の複雑な心情を表すために顔を二重像にし非現実的な表現で描かれた現代の源氏絵を見た学習者は、「なぜこのような描かれ方をしたのか」という「問い」を持ちながら原文を読みすすめていく。物語の転換点ともいえる「須磨」巻を、物語全編の中に位置付け、学習者の現在と関わらせて読む「場」を成立させるために、今回はあえて現代の源氏絵を用いた。「学習意欲が高まらない」ことが長年、高校古典授業の課題として指摘され続けている。そのため少しでも意欲的、主体的に読むための方法のひとつとして絵画と原文を対照させながら読むことを継続して提案している。また2022年度に看護学校と大学の教養教育で筆者自身が行った2度の授業を対象に、絵を用いることの有効性だけでなく、指導者の手立てと学習者の反応がどう関係するかについての分析考察を行った。これにより絵画を用いた古典授業の具体的な留意点、課題を明らかにした。