Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University Volume 73
published_at 2024-01-31
本研究の目的は、書字に困難を抱える特別支援学校小学部に在籍する児童を対象に、書字の代替としてフリック入力の指導を行い、その効果を検討することであった。対象児は、特別支援学校小学部に在籍する知的障害を伴う広汎性発達障害のある5年生児童1名であった。個別学習の時間に、ポケットモンスターの名前や特徴について説明する図鑑を手書きで作成する課題とタブレット端末を用いてフリック入力で作成する課題を設定し、指導を行った。その結果、フリック入力により文字数と漢字の字数が手書きに比べて増加した。また、予測変換の使用回数も増えていった。さらに、対象児に対するインタビュー調査から、対象児にとってフリック入力は負担が少なく、書字の代替手段として妥当な方法であったことが示された。