Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University Volume 73
published_at 2024-01-31
新型コロナウイルス感染拡大防止対策のもとで合唱はリスクの高い活動とされ、2023年5月8日から「5類感染症」に移行したものの、3年以上もマスクを着用し、歌唱を制限された子どもたちを対象に合唱の魅力やあり方に基づいた効果的な合唱教育プログラムの開発は喫緊の課題であろう。筆者らは、2021年度山口大学教育学部附属光学園の研究テーマ:「well-beingにつながる学び」についての共同研究を契機に、音楽や合唱に関するwell-being研究を進めている。本研究においては、Achievement(達成)の項目を加えた合唱におけるwell-being尺度を開発し、大学生の合唱の質を測定した。その結果、仮説的な5因子を抽出することはできなかったが、合唱に関するポジティブで主体的な態度を測定する因子と、合唱によって仲間との関係性を意識したり、仲間からの受容を実感したりするという2因子の構成を見出した。また、媒介分析から、合唱による仲間からの受容を実感することで生活満足を高め、このことが合唱に主体的に取り組む態度を高めるという結論に達した。