Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University Volume 73
published_at 2024-01-31
第1として、重度・重複障害等を有する生徒の衣生活に関する意識調査を行った。その結果、生徒は自分の着る服を自身で選ぶことは少なく、保護者が選んだ服を受動的に着ていることが明らかになった。第2として、生徒の衣生活への関心を高めさせることを目的に、文化祭にてファッションショーを実施した。事後アンケートから、出演した生徒は着装を人に褒められることから自己有用感を高め、また観客となった生徒や保護者、教員には衣服指導への理解が高まったことが示された。第3として、シミュレーションソフトを用いて衣服の色やコーディネートを画面上で生徒が選び、意見を述べ合う学習指導を行ったところ、色彩や組み合わせの知識が豊かになることで、衣服を主体的に選択しようとする意欲が高まった。これらから、生徒の余暇や卒業後の衣生活を念頭に置き、衣服の選び方、着装の知識を指導していくことが生徒のQOL(生活の質)を向上させると推察された。