Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University Volume 73
published_at 2024-01-31
本研究では、特別支援学校に在籍する知的障害のある中学部生徒に対し、美術科の段階を基にした実態把握を行い、段階に応じた目標設定と指導内容を選定した上で「振り返りシート(生徒用)」を作成・活用した美術科授業実践を行った。授業の中で定期的に振り返りながら、表現及び鑑賞の活動に取り組むことで、表したいイメージがどのように変容したのか、記入文字数や発表場面での発語数と共に質的内容について分析した。「振り返りシート(教員用)」も作成・活用することで、教員の評価も授業改善や指導・支援に生かすことをめざした。
その結果、実態の異なる生徒それぞれが「振り返りシート」に提示された問いを視点に、造形的な見方・考え方を働かせながら、表したいイメージを具体化させ、学びを深めていく姿を確認することができた。このことから、「振り返りシート」が断片的になりがちな知的障害のある生徒の思考まとめることに有効に機能したことが推測された。