中国ではいわゆる「検察公益訴訟」(検察機関による公益訴訟の提起)制度が「零星探索」(少しずつ模索する)、「授权试点」(若干の地域に授権して試験的に先行して実施する)、「改正立法」(現行法を改正し新たに規定を盛り込む)の3段階を経て2017年7月1日より正式にスタートした。検察公益訴訟は、中国の国家体制と中国語文脈の下で誕生した新しい制度であり、中国ならではの特徴をもつ。本稿は当該制度を日本に紹介することを目的に、その由来、概要、基礎概念、試験的実施を渉猟したうえ、検察機関の公益訴訟における位置付け、挙証責任、訴訟の前置手続、監督の在り方などにつき若干の考察を加えたものである。