Journal of East Asian studies

The graduate school of east asian studies, Yamaguchi university

PISSN : 1347-9415
NCID : AA11831154

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As a part of development study in developing a relevant vocational course to improve student skills for meeting the industry requirement, this research aims to enhance collaborative mindset in CAD construction drawing course using the blended online learning platform. The flipped classroom strategy is employed to conduct the learning process with a project-based approach. The platform facilitates the learning process and changes the negative mindset with the positive ones, inside and outside the class. It provides a project showroom embedded on the website with comment tools for discussion, learning material, and sustainably developed tutorial video. The blended online platform is including WordPress content management system (CMS), Zoom, YouTube, Google for Education, Imgbb, WhatsApp SNS, and Efront learning management system (LMS), which combined into an integrated learning media for providing the needs of the learning methods used in the course with better benefits, accessible and easy to follow by the students. A study was conducted to discover students’ collaborative mindset improvement in two different classes, an experiment class B and a control class A. Class B consisted of 36 students use the blended online learning platform with a project-based flipped classroom strategy, and Class A use the regular learning model consists of 39 students. Data analysis was performed by descriptive analysis, paired sample t-test, and independent-sample t-test. The descriptive analysis showed collaborative mindset average scores of 70.90 in the pre-test and 73.91 in the post-test on a scale of 100 for class A. In contrast, class B collaborative mindset average scores are 70.28 and 79.93 for the pre-test and post-test, with an N-gain score of 0.3225, which means the collaborative mindset increased by 32.25% after being treated by applying the blended online learning platform for one month. The paired samples t-test analysis of the experiment class discovers a significant improvement of collaborative mindset with a highly significant correlation of 0.935 and Sig. 0.000 < 0.05 between pre-test and post-test. Moreover, the independent samples t-test revealed the two classes’ initial behaviors are equal with a tcount of 0.278 < ttable of 1.665 and the value of Sig. (2-tailed) 0.782 > 0.05 probability. In opposition, the posttest result asserts a significant difference of collaborative mindset between the experiment class and the control class with a tcount of 3.707 > ttable of 1.665 and the value of Sig. (2-tailed) 0.000 < 0.05. Based on all the analysis tests, it can be concluded that the blended online learning platform with project-based flipped classroom strategy is significantly enhancing students’ collaborative mindset. Furthermore, the future work is conducting the summative evaluation and developing the platform based on further evaluation.
Abdul Haris Setiawan
PP. 1 - 35
有島武郎は『或る女』の執筆意図について、「醜」や「邪」、あるいは「堕落」にこそ目指すべき「人生の可能」があると述べている。従来、この「人生の可能」をめぐっては、それが『或る女』という作品でどのように主題化されているかという観点から論じられる傾向にあった。本稿ではこの問題に対し、作品の主題との関連にとどまらず、そういった発想を持つに至った有島の人生観の形成や、その人生観が作中人物早月葉子の形象にどう関わっているのかについても検討を加えていく。本来、「醜」や「邪」、「堕落」といったネガティブな概念は「人生の可能」というポジティブな展望と結び付くものではない。しかし、有島はそれらを半ば強引に結び付けていく。果たしてこのような特異な人生観はどのようにして形成されたものであるのか。本稿ではまず、有島の特異な人生観の形成について明らかにする。考察を展開するうえで着目するのは、有島とキリスト教の関係についてである。友人の森本厚吉に誘われてクリスチャンとなった有島は、アメリカへの留学中、キリスト教に順応できない自分の姿に悩み、空虚感に襲われる。この懐疑と苦悩は、制度や組織といったものに対する不信につながり、ついには背教へと至る。そして、制度としての宗教から解放された有島が向かった先は文学であった。有島にとって文学は、制度というものを介してキリスト教と対立的な関係に置かれているのである。その対立的な関係が象徴的に表れているものとして、本稿では<姦淫の女>に注目する。キリスト教の価値観では否定される<姦淫の女>に対し、有島は文学的な価値を見出していく。その価値を実践しているのが『或る女』の主人公早月葉子である。葉子は、社会制度上は蔑視される存在となる娼婦や芸者たちの生き方を羨望し、<姦淫の女>の生き方を肯定していく。葉子のこのような転倒した発想は、有島の堕落の先に「人生の可能」があるという特異な人生観に通じるものだと言える。ところが、葉子はこの特異な人生観を最後まで徹底することはない。ここに、作品に描かれる葉子の形象の揺れを見ておきたい。
Lu Yu’an
PP. 37 - 52
林京子の「黄砂」は一九七七年七月に雑誌『群像』に掲載された小説であり、一九三七年の上海租界での出来事を少女時代の「私」の目で描いたものである。この小説は原爆体験にはほとんど触れず、戦前の上海における少女の「私」と日本人娼婦お清さんの出会いと別れを描いた作品であるにもかかわらず、原爆小説集『ギヤマン ビードロ』に収録された。なぜ本作品が原爆小説集に入れられたのか、その理由について、林京子自身は、この「連作のなかに『黄砂』を持ち込んだのは、上海時代と八月九日以降の人生と生命、また私の底流にある戦争と時代を呼応させ、一つの環に結びたかったからです。それは、陽であったはずの上海時代も、負に転化する色濃い陰を持っているからです」と述べている。「色濃い陰」とは直接的にはお清さんの悲惨な運命を指しているのだが、お清さんにはさらに積極的な意義がある。「私」は作品冒頭において、お清さんとの出会いは「私の思考の原図ともいうべき出来ごと」であったと語っている。つまり、「私」における上海での幼時体験と長崎での被爆体験が「一つの環に結び」つけられるには、お清さんの存在が不可欠だったのである。本稿では、人間に対するお清さんの独自な見方が、「私」にどのような影響を与えたのかを通じて「黄砂」におけるお清さんの意味を追求し、作品の意義を明らかにしたい。
Lu Anran
PP. 53 - 66
本研究の目的は、ICEアプローチの学習理論に基づいて目標・評価を設定した授業実践を実施し、その成果を検証することを通して、言語聴覚士養成教育における「主体的な学び」の形成のためにICEアプローチが持つ可能性について明らかにすることである。言語聴覚士養成教育の現状として「主体的な学び」の形成が意識的に行われているとは言い難い状況がある。なぜなら、専門職の将来を見据えた、生涯にわたる学習につながる設計ではなく、「国家試験合格」が卒前教育のゴールであるかのような授業実践が行われている現状が存在しているからである。ICEアプローチは、ウィルソン(Robert J.Wilson)によって1996年に提唱され、2000年にヤング(Sue Fostaty Young)とウィルソンによって発展させられた学習理論である。学習における認知の変容を「基礎的知識(Ideas)」、「つながり(Connections)」、「知の応用(Extensions)」の3つのフェーズで捉えるICEアプローチは、学習者の学習過程や到達度を教員だけではなく、学習者の自己評価も通して双方向から認識することを可能とする点に特徴を持っている。本研究では、ICEアプローチに基づいてデザインされた授業を実践し、パフォーマンス課題に対する学習者の自己評価の記載内容を検討することで、ICEアプローチの有効性を検証した。実践研究の結果として、ICEの3つのフェーズを意識することで、学習者は自分の学びの位置を認識でき、教員も学習者の学びの位置を把握し、指導を検討するといった形成的評価の一面が得られた。教員による評価、学習者による自己評価と独立した評価ではなく、学習者と教員の双方向から学びの位置を認識し学びを進めていくことで、教員側の「何を教えるか」といった教育目標のみならず、学習者側の「何を学びたいか」といった双方向からの教育目標と評価を可能とした。したがって、言語聴覚士養成教育における「主体的な学び」の形成には、ICEアプローチを用いた学習目標ならびに評価の有用性は高いと考えられる。
Matsuo Akira
PP. 67 - 84
鍼灸治療は副作用が少なく未病や難病に効果があるとされ,WHOにも認められており今や世界中に広まっている.しかしながら,その治療は未だ経験的・臨床的に行われていることが多く,治療の仕組みや過程が科学的されていない部分が多い.そのため,現代の西洋医学および科学技術的な観点を取入れた客観的・統一的な研究方法や評価基準の確立が求められている.一方,システムの構造と動作の両方を表現・解析できるモデリングツールであるペトリネットは,生命システムのモデル化や解析に広く応用されており,生物情報学の分野でも多くの成果を上げている.本論文では,我々が高水準ペトリネットであるカラーペトリネットを用いて,鍼灸治療に向けの人体モデルの構築法を提案する.このモデルは,気・血・津液を取り入れ,臓腑間の影響を東洋医学の五行説および臓腑の表裏一体関係に基づいて数値的に表現することで構築される.それによって,鍼灸治療の仕組みや過程の解明に向けての客観的な分析手段を提供することを目指す.まずは,東洋医学における気・血・津液の化生・輸送の過程および臓器の新陳代謝を分析したうえで計算式を考案し,カラーペトリネットを用いたモデルの構築法を提案する.次に,五臓間や臓腑間の並行的・逐次的な働きを表すために,モデルへの補助要素の加え方を提案する.最後に,臨床で有効と検証された鍼灸治療法のシミュレーションを行い,モデルの妥当性を検証する.
Gan Quan Wu Ren Katsu Kii
PP. 85 - 98
日本語の自然会話においては様々な反復現象が見られるが, その中に, ある話者の発話末尾文にある要素が, 次の話者の発話冒頭文に現れるような反復現象(話者間反復)がある。従来の反復現象に関する研究は, 主に反復の機能を探究するものであった。しかし, なぜ特定の要素だけが反復されるのかという問題については, 未だ解明されていない。本稿では, その理由解明への第一歩として, 最適性理論の考え方を利用し, 形態的な観点, 統語的な観点, 談話的な観点から, どのような要素が選ばれて反復されるのかという点について分析する。その結果, 話者間反復現象は, 形態的・統語的・談話的制約を含めた相互作用によって生じることが判明した。
Chang Yanli
PP. 99 - 120