Journal of East Asian studies

The graduate school of east asian studies, Yamaguchi university

PISSN : 1347-9415
NCID : AA11831154

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Articles
This study examines the factors that affect fintech adoption in microfinance institutions (MFIs) in Laos. We developed a theoretical model by extending the Technology Acceptance Model (TAM) with perceived risk, government support, and regulation. To collect data, we formulated a questionnaire and surveyed a randomly selected sample of managing directors from MFIs, resulting in 74 responses. Subsequently, we conducted an empirical analysis to assess the reliability and validity of the model in predicting MFIs’ intentions to adopt fintech. We utilized Structured Equation Modeling (SEM) to test the proposed hypotheses. The results provide useful insights for practitioners in implementing strategies to promote influential factors while addressing and overcoming inhibiting factors in fintech adoption. This study contributes to the existing literature by developing and verifying the effectiveness of the extended TAM for investigating fintech adoption.
Phongsounthone Somesanook
PP. 1 - 34
東洋医学の診察は,四診(望診,聞診,問診および切診)と呼ばれる4種類の診察法で構成されている.この中で望診は,患者の顔色,表情,皮膚,爪,頭髪,舌などを注意深く観察する診察法であるが,これらのうちでも舌を見る舌診が特に重要とされている.舌診とは,舌の色・乾燥度・舌の苔(舌苔)などを診ることにより,五臓六腑の状態を診断する手法である.本研究では,東洋医学の舌診に基づき,人工知能技術を活用して,舌表面状態の画像識別による裂紋舌の自動診断法を提案する.裂紋舌は舌の肉部分(舌質)の表面が割れている状態にある舌であり,体が虚している病理状態(運動不足や栄養不足)を示している.また,裂紋舌の亀裂にはその深さと位置によって症状の度合いと病気のある臓器が異なる.なお,亀裂が深ければ深いほど,より深刻な酷い症状を示し,浅い亀裂はより軽い症状を示している.本研究で提案する診断法は,まず与えられた画像から人工知能の画像認識技術の一種であるMask R-CNN手法を用いて舌の部分を認識・抽出する.次に,抽出した画像を裂紋舌画像と非裂紋舌画像の2種類に分類する.最後に,裂紋舌画像から症状の度合いを診断する.本論文では,まず深層学習を用いた裂紋舌の自動診断の処理手順について説明する.次に,5つの画像認識モデル(LeNet,ResNet50,ResNet101,DenseNet169,ConvNeXt-Tiny)を用いて,裂紋舌の自動認識学習と裂紋舌の裂紋状態判定学習に対する画像分類の精度を調べ,これらのモデルに関する評価を行う.さらに,各々の学習で判定する正解率を高めるために,5つの画像認識モデルを融合するアンサンブル学習を行う.実験結果より,アンサンブル学習は5つの個別の画像認識モデルによる学習の正解率よりも優れており,どれも85%以上に達している.これらの結果から,本研究で活用した5つの画像認識モデルによるアンサンブル学習は裂紋舌の自動診断に効果的である.
An Zhenyu Wu Ren Nakata Mitsuru Katsu Kii
PP. 35 - 46
外国人児童は、日本社会と異なる言語、文化、宗教及び習慣を持つため、日本での日常生活や学校生活において相当な制限を受けることがある。このように制限されることは、外国人児童にとって「社会的障壁」となっている。教育分野では、合理的配慮は障害のある子どもに対する特別支援教育で使われてきた言葉である。しかし、合理的配慮は、身体的・精神的障害だけではなく、文化的・習慣的な違いによって生じる社会的障壁にも使える概念であると本研究では考え、小学校に在籍する外国人児童の分野にも「合理的配慮」の論議を援用できると考えた。
本論文では、まず、公立小学校で、外国人児童が排除される経験の事例、暴力を振るわれた事例、誤解が生じた際の事例などを分析する。次に、分析結果及び合理的配慮の考え方を踏まえて、学校現場で有効と考えられる教員の対応策について考察を行う。その結果、①合理的配慮という論議を援用することで、これまでの「教師の裁量に任せる」という状態から、より個々の外国人児童に対応するアプローチの重要性について明らかにし、②外国人児童に対して合理的配慮を提供することには、不均衡な状況を是正し、公正な環境を促進できることを示し、③外国人児童に対する「合理的配慮」には、限界があることの確認ができた。異なる文化背景を持つ児童に対して、包容的なアプローチを取ることが教育の質を向上させる鍵である。
Zhao Shujuan
PP. 47 - 68
関羽は三国時代の蜀の武将であり、勇武忠義の名で歴史に残っている。そして、儒・仏・道の三教から崇拝され、中国で最も広く知られている神だと言っても過言ではない。一方、中国民衆に重要視されている関羽の人物像は、近世日本に伝えられ、近世の文化と融合し、再生された。本稿は近世の関羽像が成立する基礎として、中世の知識人層である禅僧に目を向けた。中世禅僧の代表的な作品『五山文学全集』を中心に、中世禅林における武将と伽藍神としての関羽像の受容を分析した。
Wang Ziyu
PP. 69 - 85
本稿は,日本語の二者自然会話における共同的発話現象の一つである「引き継ぎ」現象に焦点を当てている。引き継ぎ現象は,話者Aが開始した発話が,話者Bの発話によって統語的に継続される言語現象である。本稿では,単文レベルを対象に,様々なパターンの会話データを挙げるとともに,引き継ぎの生起と話者交替場所に現れる挿入要素との関係を究明した。その結果,挿入要素が特定の順序で現れ,その生起位置に対称性が存在することが明らかになった。また,この挿入要素の対称性が,引き継ぎ現象を起こしやすくしている要因となっていることも示唆した。
Nguyen Thi Ha
PP. 87 - 109
本研究では修験道における明治期の製薬について、求菩提山・英彦山の事例から検討する。求菩提山では現在までに錦袋不老円など、14種類の薬が確認されている。錦袋不老円は江戸期の資料である『山鹿郡宿控帳』(1819年)に記されておりその使用が確認できるが、他の薬は記載されていない。加えて現存する薬袋・版木等の資料のほとんどが明治初期のものである。一方、『売薬並講社日誌簿』から、1889年(明治22)まで製薬・売薬を行っていたことを確認できるものの、その後、製薬・売薬は急速に衰退・消滅する。
明治初期、政府は近代化を目指し各種法令を出すが、それは製薬・売薬についても例外ではない。これら法令が薬自体や製法に与えた影響・変化は小さくないと考えられる。製薬・売薬に関わる法令の中で、本稿では特に1877年(明治10)に出された売薬規則に注目する。この法令では、売薬に関わる者を売薬営業者・請売者・売子の3つに分け、製薬については売薬営業者しか行えなくなることが定められた。しかし売子が売薬営業者に宛てて提出した誓約書とみられる「内和条約書」からは売子も製薬の知識を持ち、かつ製薬をしていたことがうかがえる。売子自身が製薬するという事例は、近世の仕方をそのまま踏襲したものだった可能性があるものの、法令に反した製薬が行われていたものと推察される。
このように、法令に反してまで製薬・売薬を行ったメリットはどれほどあったのか。求菩提山にはこれらで得た利益を記した資料がないため、やや時代は下るものの地理的に近く、求菩提山と同じく天台系の修験の山であった英彦山の資料を用いて検討した。英彦山松養坊には彦山疵薬を1912年(明治45)から1926年(大正15)まで製薬していた記録が残っている。さらに同坊所有の『大正三年家計簿』を検討すると、同坊では他にも収入があったことが判明した。それらと比較すると、製薬・売薬で得られる収入は少なく、生業として不十分であったと指摘することができる。
Sagara Etsuko
PP. 111 - 125
生活ゴミ分別制度を進めるには、市民個々の行動が鍵となり、その行動を促す要因を理解しなければならない。分別行動の規定因に関する研究の多くは態度─行動意図─行動という心理的プロセスの観点と経済学に基づく観点から行われてきたが、本研究では分別行動を態度や行動意図などの内的要因の影響が弱い行動と捉え、規範喚起理論、広瀬モデル、「態度-行動-文脈」理論に基づいて、分別行動の規定因に関する仮説モデルを構築した。このモデルを検証するために、上海市の市民へのオンラインアンケート調査を実施し、この結果得た1000人分の回答をもとに分析を行った。なお、このアンケート調査の事前に行った現地調査と5人の市民へのインタビューにより、調査票の内容と妥当性を確認した。
分析には因子分析、共分散構造分析、カイニ乗検定を用い、分別行動に影響を与える規定因を特定した。その結果、「個人規範」(ゴミを分別すべきとの個人の態度)、「分別行動に伴うコスト評価」(分別にかかる手間やコストに対する評価)が分別行動に最も影響を与えていることが分かった。そして、「個人規範」はごみ問題に関するリスク認知や責任帰属認知、そしてごみ分別の有効性認知によって形成されることを明らかにした。さらに、外的要因とした「政策執行評価」(分別政策執行の厳格性)は「生活ゴミ問題の認知」、「個人規範」、分別行動を取るために必要な知識や技能などの有無についての「実行可能性評価」、そして「分別行動」に対して有意な影響を持つことが示された。最後に、人口統計学的要因として、年齢、収入、学歴、居住年数、居住地域といった個人属性が分別行動へ影響することが確認された。
また、こうした結果に基づいて、分別への参加率を高めるために、オンラインショッピングサイトと連携してゴミ問題に関する知識の情報を提供する等、具体的な提案を行った。
Wang Zhangbo
PP. 127 - 156