近年、中国の少年宮教育は衰退傾向にあり、校外教育における中心的地位を失いつつある。そのため、この衰退傾向にある少年宮の企画・運営の改善を図ることが急務である。本研究の目的は、現代中国における少年宮の衰退傾向の要因・背景を究明し、保護者の教育意識を解明することである。中国において校外教育と位置づけられている少年宮の歴史を踏まえ、山東省済南市青少年宮の現状を把握するために、父母に対してアンケート調査をした。その結果、少年宮の衰退傾向の要因は、運営状況の衰退、教育機能の衰退、保護者の教育意識の変化であった。一方で、多くの保護者は子どもの校外芸術教育を選択する際、授業料が高い私立芸術教育学校を好む傾向にある。それは子どもの資質・素養の形成を望んでいるからであった。このことも旧態依然の教育をしている少年宮の衰退の要因である。少年宮の衰退に対する認識に基づくと、調査の結果から公益機能を拡大すること、教育環境を改善すること、親の教育観念を転換させることが、今後の少年宮の教育機能を充実させ、少年宮教育の再構築を実現し、少年宮教育を拡大化するうえで必要である。